ボディ剛性を高めつつ衝撃の80kgダイエット
2011年12月の発売以来、2012年、2013年、2015年、2016年の4年にわたり軽乗用車販売台数No.1を記録し、2016年12月には発売60ヵ月で累計販売台数100万台を突破した、ホンダの背高軽ワゴン「N-BOX」が新型2代目へとフルモデルチェンジ。8月31日に正式デビューを果たした。
初代N-BOX、そして背高軽ワゴン市場における最大のボリュームゾーンとなっている子育てママ層をメインターゲットに開発された新型N-BOXは、「日本の家族のしあわせのために 次世代ファミリーカーの新基準」をグランドコンセプトに、N-BOXらしさを堅持しつつ、エンジンを含むすべての部位に大きく改良の手が加えられた。
燃料タンクを前席の下に配置する「センタータンクレイアウト」を採用した初代の時点でクラストップレベルを誇っていた室内空間は、先代に対しボディ外寸は全高が10~15mm拡大したのみにもかかわらず、エンジンルームの小型化やテールゲートの薄型化、さらには樹脂センタータンクの薄肉・薄型化、エアコンレイアウトの見直しにより、室内長を20mm、タンデムディスタンスを5mm、荷室床面長を25mm、荷室高を25~55mm拡大。一方でテールゲート開口部の高さを75mm下げ、自転車などの積み下ろしを容易にしている。
シートアレンジも、先代の時点で後席の前後スライド、ダイブダウン、チップアップを可能としていたが、助手席に570mmのロングスライド機構を備えた「スーパースライドシート」を最上級の「G・EX」系グレードに標準装備。助手席を後ろにずらして後席のチャイルドシートに座る子どもとの距離を近づけたり、助手席を前にずらして後席側からそのまま運転席へ移動したりすることを可能としている(その他グレードの前席はベンチシート)。また、5:5分割・3段リクライニング機構付きリヤシートが全車に標準装備された。 「まずN-BOXらしさを定義し、それは絶対に変えないようにしながら、それ以外はすべて変えた(新型N-BOX商品開発責任者(LPL)の本田技術研究所・白土清成さん)」というエクステリアは、初代で好評だったシンプルでグラスエリアの大きな箱形スタイルを堅持しながら、ランプ類をLED化。標準仕様ではポジションランプをリング状にして親しみやすさを演出し、エアロ仕様「カスタム」ではフロントグリルのメッキモールが食い込む造形のヘッドライトをロービーム6灯、ハイビーム3灯の9灯式としたほか、ウインカーを軽自動車で初めて内側から外側に向かって光が流れるシーケンシャルタイプとしている。また、スッキリとした印象を与えるため、ルーフサイドをレーザーブレーズ溶接することで樹脂製モールを廃止するとともに、薄型フラットブレードワイパーを採用。さらに、長期間美しい外観を保てるよう、各ドアパネルとテールゲート、ボンネット、フロントフェンダーに亜鉛メッキ鋼板を使用した。横基調のデザインで外観同様スッキリした印象を与える室内は、メーターパネルをインパネ最上部に配置し、従来メーターがあった場所にはリッド付きボックスを設けることで収納スペースを拡大。
標準仕様ではベージュとグレー、「カスタム」ではブラックを基調としたシートには、アレルゲンの不活性化に加えて抗ウイルス加工も施した「アレルクリーンプラスシート」を廉価グレード以外に標準装備している。 また、運転しやすさに直結する前方視界の拡大にも配慮して、フロントピラーに1180MPa級超高張力鋼板を採用するとともに、ガーニッシュの成形・組み付け方法を改良。ドライバーから見た時の太さを初代の82mmから55mmにまで細径化した。 そのほかボディ骨格では、衝突エネルギーを効率良く分散・吸収するトラス構造フロントフレームを採用。ローラー状の電極で連続的に溶接するシーム溶接をドア開口部に、高粘度接着剤をフロアクロスメンバーなどフロアまわりの骨格に用い、さらに780MPa級以上の高張力鋼板適用率を初代の約15%から約47%に高めることで、衝突安全性とボディ剛性を高めつつ車重を約80kg軽量化している。