ハイト系の軽自動車でも期待以上のコーナーの安心感
さて、2点目の走行性能については、自然吸気エンジンが14インチタイヤの「G・EX」、ターボエンジンが15インチタイヤの「G・EXターボ」でチェックした。運転席に座るとどちらも、よりワイドになった視界と、ポジションの取りやすさに感心。新骨格のインパネを採用し、Aピラーは初代の82mmに対して54.7mmにまで細くなり、とくに斜め前方の見え方が良くなっていると感じる。シートは新設計でミドルクラスセダン同等サイズのフレームを採用し、位置調整幅も広がっており、とくに大柄なパパでもゆったり座れるように改良されている。
スタートボタンでエンジンをかけ、まずは自然吸気(NA)エンジンモデルで走りだす。今回、軽乗用車初となるVTECが搭載され、吸排気効率が大幅に向上。58馬力/65N・mのパワーと27.0km/Lの低燃費を両立し、初代の自然吸気エンジンよりも出力・トルクともに4000〜5000rpmあたりからのもうひと押しが高まっているという。
試乗は大人3人乗車で行ったが、発進直後からもたつきのない加速が得られ、鋭さはないものの思った通りに速度があげられる。40〜60km/hあたりでは余裕を持ってコントロールできるし、80〜100km/hでの巡航でも頭打ち感がなく、全高1700mm超の軽自動車としては期待以上。そして直進からすでにガッシリ感が増しており、カーブでは前のめり感なく進入してボディの沈み込みも少なく、安定して立ち上がれる。今回、全車に高性能ダンパーを採用し、FF車にはリヤスタビライザーを採用するなど、操安性や乗り心地にはかなりこだわったとのこと。また必要に応じてブレーキを自動制御し、コーナリングのしやすさと安定感を高める「アジャイルハンドリングアシスト」が全車標準装備なのも効いているようだ。
一方、ターボエンジンにも軽乗用車初の技術、過給圧を任意に調整して最適化する電動ウェイストゲートを採用。64馬力/104N・mという数値をほこり、2600rpmで発生する最大トルクにびっくりだ。走り出すと、やはりモリモリとした加速フィールでバビューンと爽快に走れる俊足。これはミニバンレベルの加速性能だそうで、大人3人乗車でもまったく衰えを感じさせない頼もしさ。直進、カーブともに剛性感もさらにガッシリと感じるが、決してガチガチに硬いわけではなく、しなやかさも手に入れている。とくにそう感じるのが高速道路の車線変更を模して左右に移動した時や、少しきつめのS字カーブを抜ける時。ボディが傾くのを足もとを固めて無理やり抑えているようなものとは違い、とても自然にジワリと荷重移動してくれる感覚が、安心感と気持ちよさをもたらしてくれる。
そしてターボモデルでは高い静粛性にも驚いた。聞けば、全車に施したロードノイズ対策、防音材や遮音材だけでも初代より大幅に静かになっているが、カスタムモデルにはさらに防音材を追加で施し、コンパクトクラス同等の静粛性を達成したという。あまりに静かなので、高速域では逆に風切り音が目立ってしまうのが残念だが、車内の会話はとても明瞭で、こうしたところからも上質感の高さが実感できた。
また、どちらも後席での試乗をしてみたが、乗り心地はかなり快適。15インチタイヤのターボでもゴツゴツ感はほとんどなく、乗る人すべてが快適な走行性能をしっかり手に入れていると感じた。