1991年・92年のタイトルを獲得
1980年代後半から1990年代初頭にかけて、F1ブームと時を同じくするように、日本ではグループAレース、ドイツではDTM(ドイツツーリングカー選手権)といったハコ車のレースも圧倒的な人気を博していた。
このDTMの黎明期を代表するマシンといえば、なんといってもメルセデスベンツ190E2.5-16 エボリューションII。1984年にはじまったDTMは、当初グループAレギュレーションでスタート。いまでこそF1で3年連続チャンピオンを獲得し、モータースポーツのイメージが鮮明なメルセデスベンツだが、1955年のル・マン24時間レースでの大クラッシュ事故以来、すべてのモータースポーツ活動から撤退。
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1980年代になってようやくレースにカムバックし、傑作車W201=190シリーズの登場に合わせ、DTMにも参戦。改造範囲の狭いグループA規定に合わせ、まずは190E2.3-16というホモロゲーションモデルを登場させる。ベース車のSOHC2.3リッターエンジン(135馬力)を、コスワースがチューンしたDOHC16バルブの175馬力にパワーアップ。グループAでは、外装は市販車のままいじれないルールだったので、190E2.3-16は純正でエアロパーツを装着。車高もローダウンされていて、ベース車とは別モノだった。
1988年からDTMマシンの排気量が2.5リッターまでとなり、2.5リッター200馬力の190E 2.5-16が登場。これをベースに、500台限定のDTMのホモロゲートミートバージョン、190E2.5-16エボリューションIが1989年にデビュー。
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そして翌1990年、極めつけとも言える190E 2.5-16 エボリューションIIが満を持して登場。ベタベタの車高も、フロントリップスポイラーも、オーバーフェンダーも、なにより象徴ともいえる巨大なリヤウイングもすべて純正、ノーマル仕様!
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このエボリューションIIを得て、メルセデスベンツは、1991年、1992年のマニファクチャーズタイトルを獲得している。今では「エボリューション」といえば、三菱のランエボシリーズのイメージが強いかもしれないが、元祖エボリューションは、このメルセデスベンツ190E 2.5-16 エボリューション。
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