攻めた見た目に違わぬ攻撃的な走り
フィットはビッグマイナーチェンジでノーマルもスポーティなルックスに変更された。しかし無限仕様はその上をいっており、そのままスーパー耐久ST-5クラスに参戦できそうなくらいのレーシーなスタイルである。今回、無限仕様のRSに試乗することができた。
車高が15mmダウンするスポーツサスペンションはボディ剛性アップとホンダセンシングに対応するために再セットアップ。
テスト車のタイヤは17インチのポテンザRE003アドレナリンの組み合わせだ。また、MD8と呼ばれる新色のフラットブラックのアルミホイールを装着して足もとを引き締めている。
ノーマル(RS)は今回の改良で快適性は高まっているが、スポーティグレードにしてはクルマの動きがやや大き過ぎる印象。だが、無限仕様はノーマルよりもノーズの入りが軽快な上にストローク感を大きく変えずにクルマの余計な動きが抑えられているので、コーナリング時の姿勢コントロールも楽だ。タイヤとのバランスもちょうどいい塩梅といえる。
ミニサーキットまで許容するセットのため、乗り心地は低速域では若干コツコツするものの、速度が上がるにつれてフラット感が高まる。心地よいダルさが残されたステアフィールと合わせて、想像以上にGT性能が高いのも魅力。ちなみにブレーキパッドは、市街地向け、ミニサーキット向けのブレーキパッド2種が用意される。
パワートレインは吸排気のみの変更。吸気に関しては、吸入抵抗を約10%向上(ノーマル比)する純正タイプのハイパフォーマンスフィルターを装備。
排気側は、RS&15XL専用チューニングのスポーツサイレンサーを装着する。ちなみにサイレンサーのフィニッシャーはチタン製のφ75で見た目も迫力十分だ。
さらに防音材レスのエアロボンネット(ノーマルよりも約2㎏軽量)の効果も相まって、豪快な吸気音がやる気にさせてくれる。
やる気といえば、インテリアには、水温/油温/油圧を表示するアシストメーターと、無限ロゴ入りエンジンスタート/ストップスイッチを装備し、視覚的な演出も怠らない。
走るステージを問わずオールマイティに使える仕立てと、元気でワクワクするスポーツ性能を兼ね備えるキャラクターは、かつてEG/EKシビックにラインアップされていた「SiR」に近いような気がする。
続いてハイブリッドモデルにも試乗したが、こちらは控えめながらもスポーティなエアロにより知的なクールハッチというイメージ。サスペンションが無駄な動きを抑えるのはRS用と同じ考え方だが、ハンドリングと快適性のバランスのみならず、走りの質感にもこだわったセットアップである。
ワインディングではハイブリッドの重さを感じさせないフットワークの良さ、高速道路では「小さなGT」のような落ちつきある乗り味を実現。ノーマルのハイブリッドSでは物足りない人にオススメだ。