室内で細かい作業を行うのに最適とされる明るさ
今、色々な部分を自動車の世界では世界基準に統一する流れが加速しています。その一環として、オートライト(前照灯の自動点灯)機能の標準装備化が決まっています。実施されるのは2020年からとなっていますが、単にオートライト機能を装備するだけではありません。
基準というからには、点灯のトリガーとなる照度も定義されています。その明るさは1000ルクス。ルクスというのは照度の単位で、1平方メートルあたり1ルーメンの光束が入っていることをいいます。と言っても、ルクスで表す明るさがどのように感じるのかはわかりづらい面もあります。
参考までに室内照明の基準でいうと、読書などに最適とされているのが500ルクス前後、1000ルクスというと細かい作業を行なうときの基準となっています。つまり、照明的には1000ルクスというのは明るいほうなのです。
しかし、日中の太陽光が照らす明るさは10万ルクス。それが日没の1時間前には1000ルクス程度まで落ちていきます。室内照明では明るいと感じる1000ルクスですが、実際に日の入り前の状況を思い浮かべるとわかるように、市街地ではけっして明るいとはいえません。しかも日中とのギャップも大きいので、かなり暗いといえるのです。
しかし、1000ルクスあれば室内基準では十分に明るいわけですから、単純に「見えるか、見えないか」という感覚的な判断では、その暗さを感じづらい面もあります。ですから、日没前の薄暗くなってきた時間帯というのはヘッドライトを点けるタイミングを逸するケースが多く、ドライバーが歩行者などに気付くのが遅れてしまい、事故が増える時間帯となっています。
そこで1000ルクスを自動点灯の基準としたわけです。照度という明確な基準を設けることで、必要になったタイミングでヘッドライトを点灯しようというのがオートライト義務化なのです。
ヘッドライトの役割は「照らす」ことだけではありません。自車の存在を知らせる(被視認性)も重要なファクターです。とくに夕暮れ時の早期点灯には被視認性の向上が期待され、それがオートライトの義務化の狙いといえます。その目的が、交通事故を減らすことにあるのは言うまでもありません。