チームタイトルはToyota Cross Country Team Thailandが獲得
アジアクロスカントリーラリー2017(以下、AXCR)は、いよいよ最終ステージのLeg6を迎えた。8月19日(土)、パクチョンのBalios RESORT Khaoyaiをスタートした競技車両は、53.53km先のSSスタートポイントを目指す。
Leg6のSSは、競技区間80.27kmと走行距離が短く、前日のレポート通り、AUTOで総合首位を走るNutthaphon ANGRITTHANON選手(いすず・D-MAX)が圧倒的に優位な状況。そんななか、最終Legは「思い切り走る!」と宣言したToyota Cross Country Team Thailandの新堀選手(トヨタ・ハイラックスREVO)が、Leg6でのSS最速タイムを狙うべくスタートした。
しかし、今年はツキにも見放されたのか、SS序盤でパンクに見舞われるなど最後まで波に乗り切れない新堀選手は、Nutthaphon ANGRITTHANON選手を追い詰めることができず。反面、Toyota Cross Country Team Thailandのチームメイト、Jaras JEANGKAMOLKULCHA選手(トヨタ・ハイラックスREVO)がトップタイムを叩き出し、トータルタイム37時間15分12秒でThe Land Transport Association of Thailand Isuzu Singha Teamに対し、39分25秒のタイム差をつけて、見事チームアワードで1位を獲得した。
昨年から、TRDアジア(本拠地:タイ)がサポートする形で参戦しているToyota Cross Country Team Thailandにとっては、チームタイトルが取れたとはいえ、新堀選手がドライブする102号車は、シームレスな加速力や2ペダルの優位性を見出して6速ATを採用するなど、マシンは昨年よりポテンシャルを上げていたのは確か。それだけに、総合優勝が飾れなかったのは痛恨の極みといえるかもしれない。
とはいえ、来年に向けてフィードバックできる数多くのデータを収集できたのも事実。次回のエントリーは未定だが、この悔しい思いを晴らすという気持ちは新堀選手だけでなく、チーム全員の願望でもある。ぜひ、来年、このリベンジを果たしてもらいたい。
また、今回はコース設定に翻弄された日本勢だが、チームジャオスの能戸知徳選手は昨年に続き、トヨタ・ハイラックスREVOでの参戦。結果は総合10位と目標圏内であったが、Leg1でのペナルティがなければ、ポジションを2つか3つ上げられただけに、少し悔しさが残る。
しかし、ドライバーでありジャオスで商品開発を務める能戸選手は、あくまでもAXCRはパーツ開発の場であるので、今回のラリーで、さまざまなことがテストでき、この結果が一般ユーザーにフィードバックされることは間違いなさそうだ。
現地でも“ダカールラリーのレジェンド”と呼ばれていた篠塚健次郎選手(Team FB Shinozuka CTS)は、1.6Lの非力なマシンに苦戦しながらも、終わってみれば総合8位、ガソリン車改造クラス1位という好成績であった。
「ワークスマシンのようなクルマがいるなかで、勝つことはなかなか難しいけれど、ジムニーが得意のマディな路面ではなかなか良い走りができた」と納得の表情。
対して、スタート前に「狙うは、もちろん総合1位」とコメントしていた青木拓磨選手(FORTUNER GEOLANDAR takuma-gp」)は、Leg6を終え表情は晴れやかだったが、ミスコースやマシンのダメージに悩まされるなど、総合6位という結果に悔しさがにじんでいたようにも感じられた。
ほかにもAUTO(4輪)、MOTO(2輪)のいずれにも数多くの日本人が参戦していたAXCR。エンデュランスラリーとしては、ダカールやバハ1000に比べるとマイナー感は否めない。しかし、篠塚建次郎選手や青木拓磨選手などを筆頭に、日本のレジェンドドライバーがあえて、このラリーに挑む魅力を十二分に感じることができた。
実際に日本導入が間近に迫るトヨタ・ハイラックスREVOをはじめ、ピックアップトラック市場が活況なタイではおなじみのいすず・D-MAX、SUVではトヨタ・フォーチュナーやいすゞ・ミューXといった各車の開発の場になっているのも事実。
まだまだ、認知度は高いとは言えないAXCRだが、タイを中心に近隣諸国で開催される高速グラベル&ターマック、ジャングルを行くマディな泥道や岩場、川渡りなど一粒で二度、三度、四度も美味しいこのラリーにみなさんも注目して欲しい!
Leg1~5総合結果(日本人選手のみ抜粋)
総合順位/クラス順位(クラス)
ドライバー/コ・ドライバー タイム ギャップ
2位/2位(T1D) Tadamitsu NIIHORI/Chupong CHAIWAN/40分47秒
6位/5位(T1D) Takuma AOKI/Ittipon SIMARAKS・Katsuhiko SHIINE/2時間26分30秒
8位/1位(T1G) Kenjiro SHINOZUKA/Eiiji CHIBA/4時間9分01秒
10位/8位(T1D) Tomonori NOTO/Kazuhiro TANAKA/4時間37分26秒
14位/2位(T1G) Satoshi TAKENO/Naoyuki YANAGAWA/8時間37分57秒
16位/3位(T1G) Koichiro HAMAGUCHI/Keigo SUDO/10時間26分57秒
20位/4位(T1G) Norihiro YAMAMOTO/Takashi TSUJIMOTO・Kazuhisa NISHIKAWA/19時間23分
35秒 21位/15位(T1D) Ryu SEYA/Masayuki FUKANO・Ayumi KAWAMURA/21時間01分07秒