下げるのはNGだが距離を乗ったエンジンなら少し上げるのもアリ
すべてのエンジンにはオイルの指定があって、グレード規格や量、さらには粘度までも細かく指示されている。そのなかで、グレードや量を勝手に変えるのはよくないのはわかるが、粘度は指定通りでないとダメなのか疑問に思うことがある。売り場に行くと、指定通りの粘度が売っていなかったりするし、もっと言えば、粘度を変えても普通にエンジンはかかるし、走ることもできてしまう。
実際のところはどうかというと、まず、指定の粘度よりも柔らかくはしないというのが基本。柔らかくすれば回転抵抗などは減るので、燃費はよくなるが、粘度はエンジン内部の各クリアランスなどによっても決められているので、柔らかくすると摩耗が進むなど、トラブルの原因にもなりかねない。
逆に硬くするのは、あまり極端なレベルでなければ、トラブルの原因にはならない。10W-20を10W-30にする程度なら、燃費にも目に見えて悪影響を与えることもないだろう。ちなみにW側は冷えた状態での粘度なので、暖まってしまえば関係なくなるので、なおさらあまり気にしなくてもいい。
愛車に、長く調子よく乗るには、走行距離が5万kmを超えたぐらいから、20から30、30から40のように、オイルの粘度を指定よりも少し上げてやるのがオススメだ。最近のエンジンは材質も良くなっているとはいえ、摩耗が進むのは避けられない。摩耗すると、ピストンとシリンダーのように、各部のクリアランスが広がってくるので、その分をオイル粘度を硬くすることで補ってやるのだ。
また硬い皮膜は音を吸収してくれるので、クリアランスが広がったことで出る異音を抑える働きも期待できる(ほんのわずかなレベルだが)。
最後に、サーキットなどで熱ダレをすると、粘度を上げるというのはよく行われていること。熱にさらされる分、油膜を厚くして補うということなのだが、粘度を上げると油温がさらに上がってしまうことがある。つまりあんかけの食べ物が、冷えにくいのと同じ。熱ダレが気になるときは、指定の粘度のまま「いいオイル(品質の高いオイル)」にするか、オーバーホール前提であれば、柔らかめのオイルを使ってみるのも手だろう。
最初に紹介したように、指定より柔らかくするのは避けたいが、それ以外なら、いろいろと試してみるのもいいだろう。