人に伝えたくなる偶然の発見にドライブの醍醐味がある
「趣味はドライブ」という人は古臭い、と言われそうだが、クルマで走りながら周囲の景色や看板を注意深く見ていると、思わぬ発見があるものだ。ドライブは遊びの基本だ。
茨城県行方にある湖、北浦に架かる北浦大橋を渡って霞ケ浦方向にむかってクルマを走らせていたら右側に「田んぼアート」の看板を見つけた。右の田んぼを見ると緑の稲に交じって、白い稲や紫稲が見える。「ウッ、あれが噂の田んぼアートか?」、と少し上から見える位置に行くと、なにやら鹿島アントラーズ・エンブレムが描かれている。「田んぼアート」をついに発見!!
この田んぼアートは、近くにあるなめがたファーマーズヴィレッジとのコラボレーションんで始まったらしい。なめがたファーマーズヴィレッジは、この地方の特産物のサツマイモをテーマに、最近はやりの「道の駅」風の作りになっている。廃校になった小学校の建物を利用して作られているのだ。こんなに高級なお菓子まであるのかと驚く、銀座のバーのような雰囲気のカウンターがある干し芋Barでは、干し芋の熟成品をテイスティングすることもできる。
田んぼアートは20年ほど前に大きな話題になった。田んぼをキャンパスに見立て、色違いの稲を植えて巨大な絵を作り出そうというものだ。1993年に青森県南津軽郡田舎館村が村おこしの一環として初めて有名になった。古代米や観賞用の色付きの稲を植え、少し離れた高い位置から見ると絵やアートになるようにしたもの。規模は違うが南米ペルーのナスカ地上絵に似た世界観だ。
秋田・田舎舘の田んぼアートはモナリザを描いたことから始まり、葛飾北斎の富嶽百景、弁慶と牛若丸、ヤマタノオロチなどなど多彩な仕掛けをものにした。茨城で見つけたのは、サッカーの地元人気チーム鹿島アントラーズのエンブレムをあしらったものだ。
田んぼアートに使う稲は、普通の食用の稲や古代米を使い、さらに観賞用として品種改良された色付きの葉や穂ができるものを組み合わせて、大きな絵や文字にしている。斜め上から見た構図で、まるでキャンパスに絵を描くつもりで、稲の植えかたを工夫していく。稲が実ると収穫して食べられるから無駄にならない。
最近、田んぼアートは全国に広がりを見せ、全国田んぼアートサミットまで開かれるほどになっている。
茨城県鹿嶋近辺の太平洋側には、サーフィンのできる海岸も多い。来たる東京オリンピックで正式種目になったサーフィンも、この近くの千葉県一宮の海岸が会場となる。房総半島から、霞ケ浦にかけては地味だけど、こんな面白い場所がたくさんある。最近では地元の野菜果物がおいしいと人気の道の駅も多い。
東京から2時間前で行ける休日ドライブのおすすめポイントなのだ。茨城県が都道府県の人気アンケートで最下位だとは、アンケートのとり方に問題があるに違いない。