北米での戦略を睨むと両者にとって最良の選択
トヨタとマツダが資本提携を行うという。現時点でわかっている情報は
1)トヨタがマツダの株式を5%買う。マツダも同じくらいの額面でトヨタの株を買って持ち合う。
2)アメリカに新しい工場を作り、トヨタとマツダのクルマを生産する。
3)トヨタとマツダで新型車を共同開発する、というもの。
状況を解説しよう。トヨタは年初トランプ政権にアメリカへの投資を約束した。当然ながら工場建設&雇用作りしなければならない。マツダの場合、アメリカ工場を閉鎖しメキシコに工場を新設している。トランプ政権にとって最悪の選択をしたため、やはりアメリカ工場新設が必須。
さらにアメリカで施行されているZEV規制のため、トヨタは電気自動車を販売しなければダメ。ちなみにリチウムイオン電池は日本から輸出できないので、アメリカで生産する必要がある。かといって電気自動車の生産だけだと30万台規模の工場は完全にオーバーキャパシティ。
そういった課題を1度にすべて解決出来るのが、トヨタとマツダが資本提携しアメリカに工場を新設するという選択肢である。トヨタにとってコストパフォーマンスという点で好ましいし、マツダだってアメリカ対策を考えたら最高のチョイスだと思う。一石二鳥ならぬ一石三鳥だ。
これから工場立地まで決めるとなれば稼働は早くて2021年。したがって生産される車種については未定かもしれない。2021年になればZEV法案でマツダも電気自動車を販売する必要が出てくるため、電気自動車専用の工場になる可能性もある。そして車両は共同開発か?
とはいえ電気自動車の技術はトヨタが圧倒している。プリウスなどハイブリッド車の経験持つため、モーターやインバーター、航続距離を伸ばすための協調回生ブレーキの技術などは現時点で世界一。完全に出遅れてしまったリチウムイオン電池さえ安価に調達出来れば、何の問題も無い。
多くのメディアはトヨタが電気自動車の開発で遅れを取ったと報じているものの、2021年になったら電池の調達も容易になると思う。加えてトヨタが開発中の『全固形電池』(次世代高性能電池)も2022年くらいに実用化される模様。こうなれば電気自動車でもTOPグループに入れるだろう。
※トヨタ・マツダ会見の写真は2015年5月13日の協業会見時のもの