究極の静粛性と至高の乗り心地を実現
ロールス・ロイスの、そして世界の頂点に立つ超高級サルーン「ファントム」が14年ぶりにフルモデルチェンジ。すべてが新設計された8代目がワールドプレミアを果たした。
92年の歴史を持ち、BMW傘下となってからは2世代目となる新型「ロールス・ロイス・ファントム」は、新設計のオールアルミ製スペースフレームのプラットフォーム「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」を初めて採用。先代より軽量化しつつボディ剛性を30%高め、乗り心地、静粛性、居住性の向上に加え、エクステリアの存在感を高めている。
なお、ロールス・ロイスのエンジニアリング・ディレクターであるフィリップ・コーエン氏によれば、この「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」は新型ファントムのみならず、ロールス・ロイス初のSUVとなる「プロジェクト・カリナン」をはじめ、次世代の「ゴースト」、「レイス」、「ドーン」にも用いられる計画となっている。
サスペンションはフロントがダブルウイッシュボーン、リヤが5リンク式で、これに四輪操舵システムと最新世代のセルフレベリングエアサスペンションを搭載。電子制御式ショックアブソーバー調整システムにより、ボディの加速度、ホイールの加速度、ステアリングの操作状況、車載カメラからの情報を利用して毎秒数百万回減衰力を調整するだけではなく、100km/h以下で走行中はフロントガラス上部に装着されたステレオカメラで路面の状況を把握し、フィードフォワード制御を行うことで、操縦安定性を高めながら「魔法の絨毯」と呼ばれるロールス・ロイスならではの乗り心地を確保した。
静粛性についても、厚さ6mmで2層のツヤ出し処理、重さ130kg以上の遮音材、鋳造アルミ製ジョイント、高性能の吸音素材を車両全体にわたり採用するなど、極めて入念な対策が施されている。 スペースフレームのフロアとバルクヘッドに二層式の合金製スキンを採用しつつ、その間にヘビー・フォーム(重さのある発泡素材)とフェルト層を挿入して、路面からの騒音を遮断。ヘッドライナー、ドア内部およびトランク内部の空洞部分には高吸収素材の層を設け、残響音を低減した。
さらに、内側に発泡体の層を形成し空洞共鳴音を抑える22インチの「サイレント・シール」タイヤを採用して、タイヤ全体から発生する騒音を9db減少させている。そして車両全体では、100km/h以下の騒音レベルを先代より約10%低減した。 6.75リッターのV12ツインターボエンジンも新たに設計され、563馬力の最高出力に加え、900N・mの最大トルクを1700rpmで発生。これにZF製8速ATと「サテライト・エイデッド・トランスミッション(SAT)」が組み合わされることで、国家行事に参列する低速走行時の静粛性と、緊急時に必要とされる俊敏な加速力を両立させている。
予防安全技術も充実しており、アラースネス・アシスタント、パノラミック・ビューおよびヘリコプター・ビューを含む全方位視野システムを可能にする4カメラ・システム、ナイト・ビジョンおよびビジョン・アシスト、アクティブ・クルーズ・コントロール、衝突警告、歩行者警告、交差交通警告、車線逸脱および車線変更警告などのアシスタント・システムを設定。
さらに、7×3インチ高解像度ヘッドアップ・ディスプレイ、WiFiホットスポットのほか、最新のナビゲーションシステムやエンターテイメントシステムなども搭載している。