日本では断られるケースが多いが外国では逆のことも
4人など大人数でタクシーに乗るときなどは、助手席にも座ることになるので、原則的には問題ないだろうが、日本では「自動ドア」もあるので、ひとりでも後部座席に乗車するのが一般的となるし、タクシー乗務員が「防犯上の観点で助手席への乗車は極力断るように会社に言われている」などとして、丁重に助手席乗車へのお断りをしてくるケースもあると聞く。
防犯上というだけでなく、助手席にお客が座ってしまうと左側方の目視安全確認がやりにくくなったりすることもタクシー乗務員が助手席乗車を嫌がる理由のひとつになっている。また基本的にタクシー乗務員の私物はトランクにしまうように指導されているのだが、私物やつり銭を入れたケースなどを助手席に置いているタクシー乗務員もいるようなので、そのあたりでも嫌がるようである。
ただ筆者の経験では、お客のほとんどが後部座席に乗車するのは日本とアメリカぐらいしかなく、ほかに訪れた中国、ロシア、ドバイ、タイ、インドネシアあたりでは、お客がひとりのときは助手席に乗車するのが一般的となっていた。ただ富裕層と思われるひとが後部座席に乗車しているケースも目立ってきている。
筆者は各国では外国人ということもあり、後席に乗るようにタクシー乗務員が案内してくれるのだが、わざわざ助手席に乗りたい旨を伝えて助手席に乗るようにしている。その理由のひとつは防犯上のものがある。とくに新興国ではタクシー乗務員はさまざまな「悪さ」をしてくる。
料金メーターを入れない(作動させない)なんてことは朝飯前。現地語しか話せない乗務員がほとんどなので、携帯電話で数字を打ってきて、あからさまにメーター料金より高い料金を要求してくることもある。だからといって、メーターを入れさせるのは会話が成立しないので不可能なので、筆者は携帯電話で料金値下げ交渉をはじめる。助手席に座ることで「場慣れ」しているイメージを相手に伝えることができるので、そのようなボッタクリも未然に防ぐ助けとなっているようだ。
また最近はめっきり減ったが、目的地以外のところへ連れて行き、仲間の乗務員とともに、身ぐるみをはがされることもあるとの話も聞いたことがある。
そのため目的地以外の場所へ向かっているとわかった時点で、助手席に座っていれば、走行中でもサイドブレーキを引いたり、ステアリングに手をまわしたりと抵抗することができるのである。
防犯上の理由のほかに助手席に乗るのは、やはり後席より見晴らしがいいことがある。新興国の交通マナーは日本に比べてもけっして良いものとはいえない。いまは沿岸部の大都市はだいぶおとなしくなった中国であるが、それでもタクシーの助手席に座って見える光景は、まだまだ交通マナーの悪さも目立っているので、そこらの遊園地のジェットコースターよりスリリングなものがあり、筆者は病みつきになっている。中国以外の新興国でも状況は同じで、筆者の海外出張の楽しみでもある。
後席乗車が当たり前のアメリカでも、デトロイト出張のときにタクシーに乗ったら、「お前は助手席に乗れ」と言われたので助手席に乗って、タクシー乗務員とバカ話をして盛り上がったことを覚えている(アメリカでは結構このケースが多い)。
そんな筆者も日本では自動ドアでリヤドアが開くこともあり、後席に乗っている。