【変わる新車販売現場】商談の短期化や販売車種を知らない客も

値引きも短期決戦型が有利な方向に

 新車購入でより値引きを多く獲得して、希望どおりの予算に収まるように購入しようとすると、購入希望車を5台ぐらいピックアップして比較検討し、3回も4回もセールスマンと商談を重ねなければ引き出すことができないと考えるひともいるはず。しかしIT化が進む現在では新車の商談も短期決戦型がより値引きアップには有効であるように変化しているのである。新車購入商談

 現場のセールスマンに、今どきの新車購入商談の傾向を聞いてみると、「お客様の多くは事前に綿密な情報収集を行い、購入希望車種も絞り込んでから商談に望む方が多いですね。なかには本命車一本に絞ってこられる方も珍しくありません」とのことであった。

 購入希望車種の絞り込みは、各メーカーのインターネットのウェブサイトを見れば、ディーラーへ行ってカタログ集めなどをしなくても、自宅で各車の詳細な商品情報を把握することができるようになった。さらに各メーカーのウェブサイトでは、サイト上で支払い総額のシミュレーション、つまり試算をすることができるので、支払い総額についてもあくまで概算となるが、購入希望車種同士で簡単に比較することができるのだ。つまり実際に商談に入る前に、自宅でターゲットをかなり絞り込めるようになっているのである。

新車購入商談

 以上のようなことが自宅で手軽にできるようになったので、あらかじめ車種を絞り込んでくるだけでなく、実際商談をした際に提示される値引き(希望的憶測レベル)を想定して、契約を決める際の目標支払い総額というのも設定してくるので、短時間で契約にいたるケースが目立ってきているとのことである。商談が複数回に及ぶことはかなり少なくなり、1回の商談だけで契約にいたるケースが多くなってきているとのことである。

 現場のセールスマンによると、「昔ながらに、商談の段階で5~6車ぐらい検討車種を用意し、時間をかけて比較検討されるお客様も多いですが、ディーラーの多くはそのようなお客様は『希望車種や予算などが絞り込まれていない』と判断し、様子を見る意味からもこちら(販売サイド)からは積極的に値引き条件の拡大はいたしませんね」とのことであった。新車購入商談

 このような昔ながらの商談を展開するひとは、ライバルディーラーに「A車は40万円引いてくれた」などと競り合わすだけでなく、SNSなどで値引き額などが公開されるリスクも高いと判断することもあるようで、値引き条件を積極的に拡大しないという話も聞いたことがある。

 また、事前にインターネットを駆使して情報収集などをして、購入車種などを絞り込んでくるお客が目立つ反面、ノープランで訪店してくるお客も多いとのことである。新車購入商談

「今は全般的にお客様のクルマに対する興味は薄れています。そのため新車への代替えを決断する際も、『長年使ってきて大きな故障をしたから』など、積極的な理由ではないケースのお客様も目立ちます」とのことであった。

 そういった人の場合クルマに興味がないので、「ここではどんなクルマ売っていますか」というところから商談がスタート。どんなクルマに乗りたいとかいう強い希望もないことが多く、セールスマンが「誰が主に乗るのか」や、「主な使い方は」など、お客のカーライフを聞いていき、おすすめ車種を決めていくとのこと。そしてそこから本格的な商談が始まるので、調子よく話しが進み、その日の内に契約となっても、契約まで5~6時間かかることもあるとのこと。新車購入商談

 このようなやや特別なケースでなくても、「最近は日常的に奥様がクルマを使われることも多いのか、旦那さんがあまり新車購入に興味を示さず、奥様が積極的にお話を進められるケースも目立っています」とのことであった。

 販売現場も人材不足気味で、より効率的な販売活動が求められている。そのなかで、事前に情報を整理して、「商談のツボ(どこが争点になるか)」がはっきりしているひとほど、好条件(値引きがより大きい)を引き出しやすいといえるのが現状なのである。


小林敦志 ATSUSHI KOBAYASHI

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渡 哲也(団長)、石原裕次郎(課長) ※故人となりますがいまも大ファンです(西部警察の聖地巡りもひとりで楽しんでおります)

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