国産車初の280馬力を達成したクルマ
この美しいプロポーションを優先したがゆえに、犠牲になったのはエンジンルームの容積。Z32のエンジンルームは、Z31に比べ27%も容積が狭い(そのため整備性が悪く、チューニングには不向きとされた)。それでいて、スタイルも性能も最高のスポーツカーを目指すと欲張ったZ32は、このボディに新開発のVG30DETT型エンジンを搭載。V6エンジンなのでエキゾーストもデュアル。
ターボも片バンクにひとつずつのツインターボ、インタークーラーも左右振り分け。出力目標は300馬力だったが、最終的には280馬力。じつは国産車で最初に280馬力をマークし、のちの280馬力自主規制の基準を作ったのが、このクルマだった。
ハンドリングに関しては、日産の901活動の時期と重なり、新開発の四輪マルチリンクサスを投入。スーパーハイキャスも装備され、直進安定性と素直なコーナリング特性を持っていた。
また、先進性という意味ではエアロダイナミクスが秀逸で、空気抵抗係=Cd値は、0.31。リヤの揚力係数=CL値は、0.00つまり揚力ゼロ(ゼロリフト)を誇り、ボンネビルでの最高速424km/hをはじめ、数々の最高速レコードを持っているのもZ32の特徴。
どちらかというと、同時期に発売されたスカイラインGT-R(R32)の陰に隠れてしまった感のあるZ32だが、これからむしろ再評価されていく一台かもしれない。