軽快感のあるフィットに対してグレイスは落ち着いた大人の走り
操縦性は以前からコンパクトセダンとして、フィットとは別の方向性に仕上げられている。フィットはキビキビ感、ステアリングを切ればスッとインを向く軽快感を最優先している。一方、グレイスはセダンらしい穏やかさと安定感を重視。首都高のカーブでペースを上げてもステアリングは応答遅れなく、誰もが安心して運転を楽しめる自然で落ち着き払ったフットワーク、挙動を見せるのがグレイスらしさ。
微差とはいえ、独立したトランクの有無によりフロントヘビー気味のフィット ハイブリッドほうが、カーブを勢いよく曲がったときに前輪が外側に膨らみやすいのも事実。
フィット ハイブリッドと同じカーブを同じスピードで曲がったときの乗員の揺すられ感、ロール感が少ないのも特徴で、これはヒップポイント/視線の低さによるものだろう。
もちろん、ボディーの肉厚アップ、遮音・吸音材の追加などによる静粛性向上、最新のホンダセンシング採用などの進化はフィット同様。セダンとしての快適性、上質な乗り味を一段と高めたマイチェンモデルである。
グレイスはフィットにくらべ地味に映るかもしれないが、乗るとなかなか。フィットより優れた部分もあったりするから、希少かつお値打ちなコンパクトセダンと言っていい。