オランダが発端も欧州全域が対象となる
オランダの検察当局は『ジープ・グランドチェロキー』と『スズキ・エスクード』が排気ガス不正申告の疑いを持っていると発表した。今後、本格的な調査を行うという。もし「不正」という判定になった場合、オランダだけに留まらなくなる。というのも「オランダ仕様」というエンジンなど存在せず、欧州仕様すべてが対象になるからだ。
詳細を説明しよう。今回問題になったのはVWのディーゼル不正と同じ、いわゆる「デフィートデバイス」の使用疑い。排気ガス試験のときだけ目覚め、普段は眠っている制御を示す。つまり試験時のみフルに排気ガスのクリーン化を行い、通常の使用だと汚染された排気ガスをまき散らすというもの。VWで大きな問題になった。
その後、さまざまな国や団体が排気ガス試験を行っている。今回不正の疑いを公表したのはオランダ陸運局。16社のディーゼル車を抜き打ち試験し、14社が「まぁまぁ適正」と評価出来る排気ガスだったのに対し、チェロキーとエスクードは許容出来ないほど汚染された排気ガスだったという。ちなみにエスクードのエンジンはフィアット製。
スズキ独自でディーゼルエンジンを開発出来なかったため、フィアット(正式にはFCA社)から購入しているという経緯である。もしかするとスズキも被害者なのかもしれないが、無傷では済まない可能性も出てきた。オランダ国内で販売されたエスクードは8000台程度というが、EU全体に広がると台数も急増するだろう。
エスクードだけに留まればいいが、フィアット製『JTD』エンジンは、その他の主力モデルにも搭載されており「排気ガス不正を行っている」という評定となれば、ヨーロッパで販売している全てのディーゼルエンジン搭載車が販売停止の対象になるかもしれない。
スズキからすれば調達先をフィアットから他のメーカーに切り替えることもできず(相当の時間が掛かる)、ダメ出しされたらいかんともしがたい。事実上、ディーゼルの販売から撤退しなければならなくなるだろう。スズキの商品計画の全面的な見直しが必要か? その前に、販売したクルマをどうするかという大きな問題に直面するなど事態は深刻だ。
※グランドチェロキーの写真は日本のガソリン仕様
編集部注)日本のスズキ広報部によれば、「海外案件のため、現在確認中」とのこと