方向性は同じだがメガーヌのほうが重厚な乗り味
またこの日は久々に、ルーテシアRSの兄貴分に相当するメガーヌR.S.にも試乗した。改めて思ったのが、R.S.としてコンセプトがブレていない。基本的にやっていることは同様だし、乗り味の質も同様だ。
詳細はそのときの試乗記を読んでいただきたいが、ハンドリングは、フロントサスペンションにトルクステアを無くすダブルアクスル式を採用しているだけあり、いかなるときも素直でトルクステアなど皆無。基本的な乗り味は、車体が大きく重いぶんだけドッシリ感とゆったり感がルーテシアより強調されており、クルマとの距離感を少なく肌身で感じてスポーツ性を得たいならルーテシア、重さで適度な穏やかさを備えた上質さを求めるならメガーヌといったところ。
ちなみにこの2台を選ぶうえで、乗り味の質以上に注目すべきは動力源だ。メガーヌR.S.は6速MT。ルーテシアはデュアルクラッチ式の6速EDC(エフィシェントデュアルクラッチ)。トルコンATと比べると、やはり急坂などの走り出しではEDCもギクシャクするが、MTから比べたら格段に操作がラク。
もちろんMTの操作の楽しみがあることは否定しない。しかし前述したようににハンドリングが良いと、EDCでクラッチ操作から解放された余裕で、存分にそのハンドリングを楽しめるのが良い。RSボタンを押せば、変速タミングはより短くなるし、吸排気音も思わずアクセルを踏みたくさせる刺激ある気持ち良い音になる。
ちなみにRSボタンを押してスポーツモードにした際に、吸気音が強調されるのがルーテシアで、排気音が強調されるのがメガーヌ。このあたりは好みで判断がわかれそうだが、個人的にはEDCの歯切れの良い変速と「コオオオ」という吸気音のコラボも好きだが、昔ながらの背後から伝わってくる排気音で刺激してくるメガーヌの味付けも個人的には好みだ。
最後に、これら2台の走りを存分に楽しめたのも、シート形状が良い上にハンドルの位置調整幅の広さなど、シートポジションがジャストフィットの服を着たときのように的確に合わせられたからであることも伝えておこう。まさに基本から応用までスポーティドライブに必要なすべてをR.S.モデルは的確に備えている。