【昭和の逸品】クルマ好きの定番だった社外ステアリング3選

かつてスポーティカー乗りはステアリング交換が当然だった

 エアバック付きが当たり前の今のクルマではピンと来ないかもしれないが、80年代のクルマ好きにとって、ステアリングの交換は定番のカスタマイズだった。当時のスポーティーカーの純正ステアリングは、スカイラインにしても、Zにしても、86、セリカ、スターレット、RX-7、シビックなど、どのクルマも一様に大径で、グリップが細く、樹脂製で滑りやすい、かなりチープなものばかりだったからだ。

 そのため、走りにこだわるクルマ好きは、クルマを買うと、こぞってステアリングを本革製に交換していた。そんな彼らに人気だったのが、MOMO、ナルディ、パーソナルの3大メーカー。

 MOMOは、1964年創業のイタリアの名門ブランド。創業者ジャンピエロ・モレッティの「モレッティ」のMOと、F1イタリアグランプリの開催地で有名な、モンツァの「MO」を合わせて、MOMOと命名。社外ステアリング

 多くのレーシングカー、スーパーカーに採用された実績があり、そのネームバリューと品質の良さから、日産やマツダ、トヨタ、三菱などにも純正採用されたことがある。日産純正のエアバック付きのMOMOのスポーツステアリングなどは、人気が高い。

 ナルディは1932年創業のイタリアの老舗。飽きのこないデザイン、使い込むほど馴染み、耐久性も高い上質な本革と、職人の手による丁寧な仕事で、エンツォ・フェラーリやフェルディナント・ポルシェにも認められ、愛されてきた逸品。とくにナルディの傑作「クラッシック」は、昔から「迷ったらコレ」と言われる鉄板のステアリング。

 もうひとつのパーソナルは、ホンダの第二期F1時代、あのアイルトン・セナが、愛用していたステアリングブランド。F1中継の車載カメラの黎明期、セナが握るマクラーレン・ホンダのステアリングの中央に輝く、王冠の印(パーソナルのマーク)に憧れたドライバーは数知れず……。

 人とクルマのインターフェイスを担う、重要パーツのステアリング。純正で本革製が当たり前になった今日でも、もっとフィティングや革の質感にこだわって、自分に合ったものを探してみてもいいのではないだろうか。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

愛車
日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
趣味
-
好きな有名人
-

新着情報