【ニッポンの名車】トヨタMR-Sは軽快で走りは極上も売れなかった悲運の名車 (2/3ページ)

なぜMR-Sはこれだけの条件がそろっていたのにヒットしなかったのか

 MR-Sがヒットしなかったのは時代のせいではなく、カッコ悪かったから。ポルシェのボクスターの影響を受けたと思われるそのスタイリングは、運動性能のためにオーバーハングを切り詰めたおかげで、どうにも「寸づまり」な、スポーツカーらしくないボディデザインになってしまった。

 物理的には、スポーツカーとして正しいカタチを採用したのだが、感性の部分では不正解のカタチになってしまったのがMR-Sの悲劇。国産量産車で、はじめてのセミAT=シーケンシャルマニュアルトランスミッション(SMT)を搭載するなど意欲的なクルマだっただけに、今考えても惜しい一台。

 中古車相場では平均66万円ぐらいと、意外に高値なのも希少性と走りの良さが絶版車になってから評価されているからではないだろうか。主観的な問題だということは重々承知しているが、もう少しカッコさえよければ、スポーツカーとして名車の殿堂入りができたはず。そういう意味で本当に惜しい一台だ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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