一般的には布でできたサンルーフのようなもの
今や絶滅寸前の装備がキャンバストップだ。そもそもキャンバストップとはなにかと、文字どおり、布張りのルーフのことを言う。だから、ロードスターのようなソフトトップもキャンバスでできているので、キャンバストップの一種だが、一般的にはキャンバストップというのは、サンルーフの仲間を指すことが多い。
つまりサンルーフやグラスルーフのように硬いものでフタをしてあるのではなく、代わりにキャンバスを被せているタイプを指す。しかも素材がソフトなので、閉めるというよりも、被せるといった感じ。
そういう意味では、S660のルーフは小さく開放されているルーフ部分だけをキャンバスでカバーしているから、キャンバストップといってもいい。つまりキャビン全体を覆うのがソフトトップとするなら、キャンバストップはあくまでルーフだけがキャンバスのものを指す。境界線は非常に微妙ではあるが。
歴史的にもキャンバストップは古い装備だ。海外だと、フィアット500が採用しているのは有名なところだが、日本ではホンダのN360にもあったし、最大のヒットとなったのは1986年に登場したフェスティバ・キャンバストップだろう。バブルということもあって、女の子や大学生などのデートカーとして、見ない日はないほどだった。また似たような軽自動車やコンパクトカーも登場して、装備としてもヒットした。
なぜ大ヒットになったのかというと、単純に複雑な構造のサンルーフよりも安いということもあるが、キャンバスならではの風合いが魅力的だったのが一番大きいと思われる。閉めたときの頭に乗っけている感だけでなく、開けたときのクネクネと畳んだ状態が外から丸見えというのも逆に可愛かった。
その後はキャンバストップは減っていくが、理由としては単純に見た目などが飽きてきたというのもあるし、耐久性に欠けるというのもあるだろう。劣化してくると白っぽくなってみっともなく、張り替えが必要なるため手間がかかるという点でハンディがあった。また最近では安全面(セキュリティ)なども理由にあるかもしれない。