メーカー選手権のヒーローたち【アルファ・ロメオ Tipo33・後編】 (3/3ページ)

ラストシーズンは8戦8勝で2度目のタイトルを獲得

 そのTipo33SC12だが、デビューシーズンの76年には苦戦を強いられてしまう。フル参戦も叶わず、第4戦のイモラで2位に入ったのがシーズンで唯一、スポットライトを浴びた瞬間だった。しかし翌77年は状況が一転する。

全8戦のシリーズで無傷の8連勝を飾ることになったのだ。もっとも、ポルシェの軸足はグループ5=シルエットフォーミュラに移り、その他のライバルたちもシリーズとは無縁となったル・マン24時間に興味が移ったことから強がなライバルがいなかったことも幸いしたのだが。それでも全8戦を完全制覇、というのは評価されるべきだろう。

 ちなみに、シリーズ最終戦のザルツブルグでは排気量を2124ccに縮小、ツインターボを装着した新エンジンをテスト。パワー自体は上まわったものの、重量増加もあってトータルのパフォーマンスでは3リッターNA版には届かず、総合2位に留まっていた。いずれにしてもこの77年でアルファ・ロメオのスポーツプロトタイプのプロジェクトは休止。アウトデルタはF1GP用12気筒エンジンの開発に傾注することになった。

 深紅のボディにノーズのホワイトが映える#2号車は、75年式のTipo33TT12。カルロ・キティが手掛けた新エンジンは水平対向12気筒だった。やはり深紅のボディでノーズとサイドにダークブラウンのストライプが走る#1号車は77年式のTipo33SC12でシリーズ最終戦に登場したターボ仕様。ともに今年4月にアルファ・ロメオ歴史博物館で撮影。

 一方、そのターボ仕様と同じカラーリングだが、何故かフェルネット・トニック(FERNET TONIC=アルコール飲料)のロゴが剥がされた“下地”状態でナンバーさえもない車両は77年式Tipo33SC12のNA仕様。

2015年の2月にオランダのローマン・コレクション(=国立自動車博物館)で撮影した。また#2号車と同じく深紅のボディにノーズのホワイトが映える#12号車は、2013年の10月に都内は台場で行われたモータースポーツジャパンで撮影したものでスズキのフォーミュラKeiをベースに製作されたというレプリカだ。


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