スーパーGTで見慣れたフロントマスクが潜在能力の証
ニュル24時間やスーパ−GTで活躍中のカスタマースポーツレーシングカー「AMG GT3」で培った技術を余すことなく搭載した、公道走行可能なレーシングモデルのメルセデスAMG GT R。待望の国内発売だ。
今後のGTフェイスの軸となる縦格子のパナメリカーナグリル採用のフロントフェイスは、まさにスーパーGTで見慣れた顔。モータースポーツのみに許された伝統のAMGフェイスが量産モデルとしては初となる。ジェットウイングと呼ばれるワイド&大口径のエアダクトを起用したバンパーデザインは、スーパ−GTよりも力強くアピールしてくるように思える。
リアにはアジャスタブルリアウイングスポイラーをマウントし、強力なダウンフォースを生む。空力効率の追求が図られているのがわかる。
また、アンダーボディにも見逃せない空力パーツが奢られている。新開発のアクティブ・エアロダイナミクス・システムだ。カーボンファイバー製で重量わずか2kgだが、レースモードセレクト時80km/hに達すると約40ミリ自動で下降し、ベンチュリ効果を発揮するものだ。とくに高速時の横Gでのコントロール性に貢献するという。
搭載するエンジンは新開発AMG4リッターV8直噴ツインターボチャージャー。F1のAMGペトロナスと同じく、シリンダーにスチールカーボンを溶射コーティングするNANOSLIDE摩擦低減加工済み。フリクションロスの低減と軽量化が図られた。
専用ターボチャージャーは先日発売されたばかりのAMG E63 S 4MATIC+でも搭載されたV型シリンダーバンクの内側に配置する革新的なホットインサイドVレイアウトを採用。最適なエアフローを生み出す。
これら最新技術を組み込んだことで最高出力585馬力(430kW)、最大トルク700N・mを発揮する。またパワーウェイトレシオは2.80kg/PS、0-100km/h加速は3.6秒を達成した。
今回のGT RでメルセデスAMGモデルとして初めてリアアクスルステアリングが標準装備された。時速100km/h以下ではリヤホイールがフロントとは逆位相に操舵され、100km/h以上では同位相になるシステムだ。クイックかつ高い操縦安定性のハンドリング特性は、スポーツドライブの純度を極めるものと言える。さすがAMGだ。
インテリアはAMGスポーツバケットシートを標準装備。シート表面にはナッパーレザーとDINAMICAマイクロファイバーを使用した軽量モデル。もちろん手動タイプ。電動のパフォーマンスシートはオプションとなった。
最後にスポーツカーの真髄として最重要な要素である重量について。シャーシやボディ各所にアルミ合金を使用し、フロントデッキには超軽量のマグネシウムを起用。とくにエンジンとトランスミッションをつなぐトルクチューブでのカーボンファイバー材の採用もトピックだ。
従来までのAMGフラッグシップモデルGT Sに比べてトータルで約15kgの軽量化を達成している。