先進国がエネルギー分野でイニシアチブをとるという側面もある
脱石油というのは、多分に政治的な意味合いを持っていますが、一応はトレンドになっています。その最たるものが「CO2地球温暖化」説ですが、これは要するに「石油本位制」から「CO2排出権取引本位制」へのパラダイムシフトです。
石油産油国の意向や状況に左右されず、CO2排出権取引という架空の空間でさまざまな投資や金融商品が展開されるという図式です。これであれば産油国ではない先進国が世界経済のイチシアチブを取ることができます。
現実がどうか、科学的にどうか、というのではなく、世界的に認知されているという事実を担保として、そういう仮想空間ができあがり、それを現実だと世界中で共通認識するというわけです。この構造は、仮想通貨と同じです。
世のなかはそうしたレトリックで廻っています。エコというタイトルが付けば、お役所では予算が獲得しやすく、民間企業はアピールしやすく、一般大衆は得した気分になります。本当は無駄に税金が使われたり、無闇に高価な製品を買わされたりして、かなり損をしているのですが、気分としては得なんだろうと思います。
企業や組織も、自分たちにメリットがあるのであれば、現実から目をそらすことには何の問題もないのでしょう。そこに現実や科学が存在する必要はありません。水素社会というのは、水素中心のエネルギー社会の構築です。石油から水素へ、ということです。
そうした脱石油トレンドのなかで、水素エネルギーへの転換はあり得るのでしょうか? 水素エネルギーのメリットとして挙げられるのは、炭素成分を持っていないのでCO2を排出しないことです。このことだけを見れば脱石油トレンドの、まさにド真んなかのストレートです。