優等生のゴルフTSIハイラインは誰にでもオススメできる
さて、ノーマルのゴルフにも試乗しよう。ゴルフRを最初に乗ってしまったからという言い方もできるが、気筒休止モード付きの1.4リッター直噴ターボエンジンを搭載したハイラインは、とてもよいクルマではあるが若干個性が薄く感じてしまったのが正直なところ。
まずワゴンボディのゴルフ ヴァリアントTSIハイラインに試乗したが、これもまた改めて足まわりのしなやかさは見事。しかし低速走行などでDSGの変速はショックを生じるときがあるしギクシャクしやすい。またホイールベースは同様だが5ドアハッチと比べると、約30cmリヤオーバーハングが伸びている影響は明確。走行振動やクルマの揺れの収束は若干落ちる。
また連続するカーブでは、リヤがノソッと遅れて動く感覚が強くなる。これはリヤからも駆動力でクルマを押してくれたら……そんな感覚を抱いてしまうもの。またスポーツモードにしたときにハンドルの重さだけが増す感じで、若干グリップ感とリンクしない感触もある。
もちろん荷物を大量に詰める魅力を備えているし、足まわりのしなやかさなど真っ直ぐ走っているときの乗り味の質の高さは魅力だが、価格を踏まえた総合力ではカテゴリーが変わってしまうが国産勢コンパクトSUVなども視野に入ってきそうだ。
またあまりの優等生ぶりに誰にオススメしていいのかイメージしづらいのが5ドアハッチバックのゴルフTSIハイライン。逆に言えば、誰にでもオススメができるというモデルでもあるのだろう。日常使用において十分すぎる加速力とダイレクト感、そしてコントロール性に加えて、深く踏み込んだ時の排気音の気持ちよさまで備えている動力源は見事。
DGSのギクシャク感はバリアント同様にあるが、旋回時に後ろがノソッと動く感覚はなく、気持ちよくスポーティドライブまで楽しめる。もちろん街なかでの快適な乗り味まで備えており、乗り味への不満などない。もちろん4輪駆動&電子制御サスを使ったゴルフRと比べたら路面への張り付き感やしっとりとした上質感は落ちてしまうが、価格を踏まえたら十分に納得できるレベルに仕上がっている。
いつものように乗り味リポートに力が入ってしまったが、改めて今回のゴルフの進化ポイントはデジタル分野。渋滞支援と歩行者検知、さらにはデジタル表示メーターが備わり、お買い得感と魅力が高まったのはまぎれもない事実だ。