【50台限定】ルノー キャプチャー・カンヌ発売! ルノーと映画の深い関係とは (2/2ページ)

2017年7月7日に公開の「ボンジュール、アン」にカングーが登場

 では、映画のなかに登場したルノー車といえば何が思い浮かぶらだろう? もちろんそれぞれの時代のフランス映画のなかで、その頃にフランスの街を走っていたルノー車が活き活きと走る姿を見ることができるわけで、クルマ好きは映画のシーンのなかにひいきのブランドやクルマをついつい探してしまうものだけど、主役よろしく派手に出演(?)してる作品はそう多くはないように思う。

ルノー・キャプチャー・カンヌ

 僕のどこか覚束ない記憶によれば、コメディの天才的な役者であり映画監督でもあるジャック・タチによる1971年のフランス映画『Trafic(邦題:僕の伯父さんの交通大戦争)』で、主人公が自身で設計してパリからアムステルダムまで走っていこうとするキャンピングカーが、確かキャトル・フルゴネット(ライトバン)をベースにしてるんじゃなかったか?ルノー・キャプチャー・カンヌ

 1982年のエリック・ロメール監督による『Le Beau Mariage(邦題:美しき結婚)』にも、いい感じでキャトルが出てきていたと思う。キャトルといえば、日本でも2005年の竹中直人監督作品『サヨナラCOLOR』に、もちろん作中にも登場してるのだけど、公式ウェブサイトの最初の画面や予告ムービーでもかなり印象的に姿を見せている。ルノー・キャプチャー・カンヌ

 個人的にもっとも記憶に強く残ってるのが、1983年の『007 ネバー・セイ、ネバー・アゲイン』だ。何せルージュのサンク・ターボ2が、ボンド・カーならぬボンド(の敵)ガール・カーとしてドリフト・シーンなど活き活きとした走りっぷりを堪能させてくれるのだ。ルノー・キャプチャー・カンヌ

 そして、である。モダン・ルノーがずいぶん長い時間スクリーンの中に登場する作品が、もうじき公開される。2017年7月7日に全国ロードショーがスタートする『ボンジュール、アン』がそれだ。

 この映画、フランシス・フォード・コッポラの妻でありドキュメンタリー作品の監督でもあるエレノア・コッポラが80歳にして長編劇映画に初挑戦した作品で、エレノア自身の実体験をヒントにして脚本を執筆、夫のすすめで自ら監督もつとめたもの。エレノア自身が投影されている主役のアンはダイアン・レイン、夫のマイケルはアレック・ボールドウィン、夫の仕事仲間にしてアンと一緒にカンヌからパリへとクルマで向かう準主役のジャックはアルノー・ヴィアールと、キャストもかなり豪華だ。

ルノー・キャプチャー・カンヌ

 ストーリーについてはネタバレになる恐れがあるからサラッとだけ述べることにすると、著名な映画プロデューサーである夫や子供を長年支え続け、自分のことを常にあと回しにしてきていたアメリカ人女性のアンが、「これからをどう生きよう……?」と彷徨う気持ちを抱えたまま夫の仕事仲間のフランス人男性ジャックとの寄り道だらけのドライブ旅行に巻き込まれていくうちに、いつしか本当の自分を取り戻していく、という一種のロード・ムービー。

 パンフレットには「人生の分かれ道に立つ女性が、思いがけない旅で『忘れていた自分』と出会うまでを描き、新たな一歩を踏み出す勇気と元気をくれる物語」と記されているが、まさしくそのとおり。多くの大人の女性に観て欲しいし、同時にそうした女性を愛する男性こそ観るべき作品だとも思う。またカンヌからパリまでの美しい風景も見ものだし、ジャックの語る言葉そのものが観光ガイドの役割を果たしてもいるから、フランス好きにはそれだけで楽しめる。

 そのふたりの道中のほとんどを支えるのが、じつはシルバーのルノー・カングーなのだ。当初はジャックの愛車である古ぼけたピニンファリーナ・デザインのカブリオレでカンヌをスタートするのだが、途中で故障し、カングーにスイッチしてパリに向かうのである。ルノー・キャプチャー・カンヌ

 ああ、わかってるなぁ……と感じたのは、ジャックの古ぼけた愛車と真新しいカングーの巧みな対比。カブリオレで移動してるときには安定感に欠け、クルマの動きにも粗っぽささえ感じられるジャックのドライビングに内心では不安を感じ、夫との電話で「彼は上手なドライバーとはいえないわ」とこぼしたアンだが、カングーでの移動中には助手席ですやすやと、それも結構長い時間眠ってしまう。

 走行中の車室内を撮影したカメラワークも見事で、カブリオレのときにはどこかぶわぶわ揺れていたのに、カングーに変わってからはピタリとフラット。自分の愛車にこだわるジャックには「食欲を減退させるクルマだ」なんていわれてしまうが、アンは「エアバッグ付きよ。音楽も聴ける」と安心した様子。そんなところにも、クルマ好きとしては喜びを感じてしまう。

 ともあれ、ルノーが大切にしている映画という文化。その側面からクルマを見つめてみるのも楽しいし、間違いなく知的好奇心を刺激してくれる“エスプリ”のうちのひとつといえる。何だかちょっと、フランスっぽい。

 タイトル:『ボンジュール、アン』

 公開表記:7月7日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他にて全国ロードショー

 配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES

 ©the photographer Eric Caro

  

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嶋田智之 SHIMADA TOMOYUKI

2024-2025日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員

愛車
2001年式アルファロメオ166/1970年式フィアット500L
趣味
クルマで走ること、本を読むこと
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