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東名高速の空飛んだ事故とロンドンの中央分離帯事情とは?

東名高速の空飛んだ事故とロンドンの中央分離帯事情とは?

ロンドンは50センチほどの厚いコンクリートに取り換えている

 先日東名高速道・愛知県新城PA付近で起きた悲惨な事故の原因について、いろいろ取りざたされている。この事故で空を飛んだ乗用車(デミオ)の運転者は死亡、反対車線を走っていた観光バスに飛び込んで45人が重軽傷を負った。

 高速を走っていた乗用車が、左側のガードレールに衝突、その勢いで中央分離帯に激突して4メートルも宙を舞い、反対車線を走っていたバスに正面衝突した。この事故はバスにドライブレコーダーを搭載していたから、一部始終が写っていた。

 宙を舞った原因はいろいろ取りざたされているが、やはり中央分離帯の作り方にも原因があるように思える。このニュースは、映像が衝撃的だったから世界中に配信されて、ロンドンに住む友人がこんなことを教えてくれた。

「最近、ロンドンの高速道路の中央分離帯は、改良工事が行なわれていますよ。やはりイギリスでも中央分離帯を飛び越して反対車線で事故が多発していました。イギリスも中央分離帯は日本に似て、ガードレールだったり、緑地帯だったり様々ですが、最近は50センチほどもある厚いコンクリートを使ったものに取り換えています。

 私も走ってみましたが、実際には反対車線が見えないから、夜のヘッドライトがまぶしくなく、楽に走れます。でも、昼間は車線が狭く感じられ、大型トラックと並走になると、危ないな、と思うこともあります」

 テレビのニュース解説を頼まれた評論家の国沢光宏さんは、鋭い分析をしている。「あれだけ飛んだのは中央分離帯の作りが問題でしょう。あのあたりは分離帯の、のり面(斜面)が広くしかも70センチも上側に傾斜して作られている。その長さが3メートルもあってからガードレールになる。つまりジャンプ台のようになっています。

 クルマの構造を考えると、のり面のところに5~6センチの段差があって、そこに乗り上げるとダンパーが縮み、すぐに戻ろうとすると、余計ジャンプしてしまう。そんな構造の問題をしっかりチェックしてほしい。日本は誰かを悪者にしたがる。なくなった運転者のスピードの出しすぎだ、ということで片づけて欲しくない」

 道路の構造には、僕自身、疑問に感じることが多い。オーストラリアの友人は、日本に来るたびにこんなことを言う。「日本は見通しの良い交差点で、どうして信号が付いているのか不思議だね。あれじゃ渋滞の原因になるし、ドライバーがイライラしてしまう」

 確かにオーストラリアでは交差点でも見通しが良いと、信号をつけないところが多い。ドライバーが自分の眼で見て確認をする、という基本動作を身に付ければ、きっと事故は減る。

 また、歩道と車道の間にある分離帯構造も問題がある。歩行者保護を考えた結果だろうが、多くの場合クルマが当たると大破する高さだ。その結果、別の事故の誘因となる。時には、今回の事故と同じようにジャンプしてしまうこともある。

 我々のクルマの撮影では、クルマの撮影ポイントに苦労する。日本の風光明媚なワインディングはほとんどガードレールで武装されている。ガードレールの外側を見ると雑木林だったり、緩やかな斜面だったりで、もし車がオーバーランしても大きな事故にならない場所も多い。とにかく一律にガードレールを設置する、という考えは間違いだ。

 ともあれ、安全を電子制御に頼るだけでは事故は減らない。もう一度根本から事故の要因を洗い出すことだと思う。

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