日下エンジニアリング初のマツダエンジン
実物のエンジンをスキャニングし、コンピュータ上で作った3Dデータを設計図として、その断面形状を積層していくことで立体物を成型する3Dプリンター。この機械を使い、6分の1のエンジンスケールモデルを製作し、ゼロから模型業界に参入した鳥取県米子市の「日下エンジニアリング」。
3Dプリンターは従来手作業で行っていたスケールモデルのマスターモデルの製作時間を大幅に短縮できることで、コストを低減するとともに、高精度な型ができるので、製品の出来上がりが非常に美しいなどメリットは多い。
これまではR32型からR34型スカイラインに搭載されるRB26DETT型エンジンを筆頭に、日産自動車が誇る名車のエンジンモデルをラインアップしてきたが、2017年6月10日(土)に受注を開始(発送は同年9月中旬から)する新作は同シリーズ初の「マツダ」車。今年、生誕50周年を迎えたマツダ初の本格スポーツクーぺ「コスモスポーツ」に搭載されるロータリ―エンジン「L10B」型だ。
「昨年2月、コスモスポーツオーナーズクラブの星野仙治会長から『2017年5月の生誕50周年に向けてL10B型ロータリーエンジンのエンジンモデルを作ってももらえないだろうか』という打診をいただいたのが始まりでした。日産の名車シリーズ以降、何を手掛けようか模索していたタイミングで、また、私自身がコスモスポーツと同じ1967年生まれであったことあり、依頼を引き受けることにしました」と日下エンジニアリングの佐々木禎代表。
製作方法はこれまでのエンジンモデルと同様で3Dプリンターでマスターモデルを起こして成型していく手法だが、大きく異なるのはエンジンのみならずミッションも組み合わせられていることだ。
「ロータリーエンジンは単体だと非常にシンプルなので、見た目のボリューム感も考えて、今回はミッションも製作することにしました。また、コスモスポーツに搭載されるロータリ―エンジンには前期型のL10A型と後期型のL10B型がありますが、今回後期型のL10B型を選んだのは生産台数の多さ。現存している多くが後期型であり、多くのオーナーに手に取ってほしい、というところから選びました。当然ミッションも後期型の5速MTとなっています」と、佐々木代表。
自然吸気のロータリーエンジンを実際に見た人は今では数少ないと思うが、吸排気バルブやカムシャフトなどの必要がなく、レプシロエンジンのような上下運動ではなく、回転運動となるので見た目もシンプルで、非常にコンパクトであることが、エンジンモデルを見ても理解できる。確かにミッションがなければこじんまりした印象だろう。スターターやオイルフィルターなどがレプシロモデルに比べるとかなり大きく感じるのもエンジンのコンパクトさゆえだ。
キャブのアイシング防止のためのエキゾーストマにホールドから、キャブのクリーナーボックスに繋がる独特な形状のリターンパイプも忠実に再現されている。
素材はほぼシリコン型のレジンキャストだが、シフトノブのスティック部に亜鉛塗装を施したり、シフトノブをウッド調に塗装するなど、細部にわたり、リアリティとクオリティを追求しているのはこれまでのモデルと同じ日下エンジニアリングの譲れないこだわり。エアクリーナーボックスやエンジン本体に張り付けられるステッカーなども本物からスキャニングして製作。
そして、本体とは別にロータリ―エンジンの証ともいえるお結び型のローターが1個がディスプレイ用として付属されるなど、オーナーならば「こだわっているな」と思わず笑みが溢れるはずだ。
ちなみに、このエンジンモデルの製品1号機はコスモスポーツ生誕50周年に当たる今年5月30日に、広島県広島市のマツダ本社で、特注ケーキと共に小飼雅道社長に贈呈されている。
本体サイズは全長170㎜×全幅260㎜×全高170㎜(台座、アクリルケースを含む)とミッションを組み合わせた分、これまでよりも少しサイズは大きい。台座はオイル仕上げが施されたウォールナットで、落ち着いた風合いはエンジンモデルの質感をグッと引き上げる。50周年を記念したスペシャルなスペックプレートが付属して、価格は5万9,000円(税別)となっている。
マツダを代表するロータリーエンジン初搭載車であるコスモスポーツの生誕50周年を記念した特別なエンジンモデル。コスモスポーツオーナーだけでなく、ロータリーエンジンをこよなく愛するファンにもぜひ手にしてほしい逸品だ。
商品の詳細ならびに商品の展示イベントなどは下記ホームページまで
日下エンジニアリングモデリング事業部
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