ミニバン市場からの撤退について直撃
ミニバンと言えばファミリー層から絶大な支持を受け、各メーカーともかなり力を入れているジャンルだ。そんなミニバン市場からマツダが撤退するというニュースが流れてから1年余りが経過した今、マツダ広報部に改めてその真意を尋ねてみた。
まず、マツダのミニバン(プレマシー、ビアンテ、MPV)の国内販売比率についてだが、2013年度は11.5%だったものが、2014年度が6.0%、2015年度が4.3%、2016年度が4.1%と年を追うごとに減少している。すでにMPVは販売を終了し、プレマシーもビアンテも登場から7~9年が経過しているため、正直他社のミニバンと商品力を争うのは厳しいと言わざるを得ない。しかし、販売比率を見ても新型モデルを開発したところでその費用がペイできるかどうか不透明、というのが本当のところではないだろうか。
ではマツダから3列シートを備えるクルマが消えてしまうのか、というとそういうわけではなく、年内に発売が予定されている新型SUVのCX-8がその穴を埋める形となる。
マツダと言えば「SKYACTIV TECHNOLOGY」に代表される “走る歓び”のイメージを持つユーザーが多いと思うが、そのマツダが一貫して訴求してきたそれを、デザイン、走り、質感といった各領域において実現しつつ、多人数乗りのニーズに応えるためには、ミニバンではなく、3列シートSUVが適していると判断した(広報部)というわけだ。
確かに今年3月にフルモデルチェンジを果たしたCX-5も、あのボディサイズを持ちながらしっかりマツダらしい走りのよさが実感できるモデルに仕上がっていた。また、世界的にSUVブームが続いていることからも、日本国内のみならず、グローバルな視点で考えても3列シートSUVというのは大いに「アリ」と言えそうだ。
ちなみにミニバンの開発、生産を止めたことで生まれた余力については、グローバルに需要増が見込まれるクロスオーバー系車種の開発・生産能力の向上を図る(広報部)とのことで、今後も新たなクロスオーバー系車種が登場するかもしれない。個人的にはその数パーセントでもスポーツモデルに振り分けてもらえると嬉しいのだが……。
また、今後再びミニバンを手掛ける可能性について尋ねたところ、明確な答えはもらえなかったが、可能性はゼロではないような印象を受けたことを付け加えておこう。