メーカー選手権のヒーローたち【アルファ・ロメオ Tipo33・前編】 (2/3ページ)
TEXT: 原田 了
PHOTO: 原田 了/アルファロメオ
戦前の夢を再現すべく2リッターV8エンジンを専用開発
イタリアを代表する自動車メーカーとして、戦前はグランプリレースやスポーツカーレースで縦横無尽の活躍を見せていたアルファ・ロメオ。第二次大戦後、GTAやGTAmによってツーリングカーレースを戦い、また、SZやTZ/TZ2を投入してGTカーレースを戦っていたが、67年には長年の沈黙を破る格好でスポーツカーレースに復帰を果たすことになった。
そのときの主戦マシンがグループ6として開発されたティーポ(Tipo)33。当初、プロトタイプではTZ2で使用されていた1.6リッターの直列4気筒ツインカムが流用されていたが、開発の早い段階で、新開発のエンジンにコンバートされている。新ユニットは2リッターの排気量を持っていたが、この排気量では一般的だった直列4気筒ではなくV型8気筒。天才エンジンビルダーとして名をはせ、アウトデルタを立ち上げたカルロ・キティが手掛けたTipo33専用のユニットだった。
1965年にプロトタイプモデルが完成、67年にはTipo33/2として正式に発表されている。ロールバーの上に突き出したエア・インテークが特徴的で、早速「periscope(=潜望鏡)」の愛称を授けられることになる。ベルギーのヒルクライムでデビューウインを飾っているが、本来の目的であったメーカー選手権では苦戦の連続となった。
実際、メーカー選手権のデビュー戦となった67年のセブリング12時間では予選で2リッタークラストップのグリッドを得、決勝ではスタート直後にラップリーダーともなっているから、速さは充分なものがあったようだ。しかし信頼性というか安定性に欠ける面があり、このレースでは最後まで走り切れなかった。以後も参戦を続けたが、ニュルブルクリンクで開催されたADAC1000kmで5位に入賞したのが、このシーズンのベストリザルトだった。