塗料の進化や小傷の入りにくさなど多方面で進化
25年以上前だと、クルマのボディは次第に劣化して色あせもしたし、そうなれば当然貧相になるわけで、「そろそろオールペンしないとなぁ」なんていうことにも自然になった。ちなみにオールペンとは、「オールペイント」の略で、つまり全塗装のこと。
やれたボディの化粧直しとしてボディ全部を塗り直すのは特別なことではなかったし、逆に中古車だと、オリジナルペイント極上なんていうのをウリにしていたものだ。それだけ、塗装の質が向上したわけなのだが、どこがよくなったのかを見ていくことにしよう。
まずは塗料の質自体がよくなって、劣化の大きな原因となる紫外線に対して強いものが開発され、進化してきているのが大きい。とくに一番紫外線の影響を受けやすいとされる赤系の性能向上はかなりのもので、以前であれば朱色やピンクっぽくなってしまったのが、最近のは赤を長期間保持してくれるようになった。
さらに色あせを助長するのが、細かいキズだ。これについてもあまり入らなくなってきていて、光沢を長く維持してくれる。つまり硬いだけでなく、しなやかにもなっているし、日産が先駆けたスクラッチシールドも小キズ防止という点で画期的な技術だ。これは塗膜にキズが入ったとしても、自然に元に戻る塗装で、比較テストをしても目に見えた違いがわかるほどの効果がある。
肝心の塗膜自体も進化していて、以前はメタリックにしかなかったクリア層はソリッドでも今ではあるし、実用車でも何層にも重ねて厚みと深みを出すようになっている。さらに新車納車時にコーティングをするようになっているのも、色あせ防止を促進している。
塗料、塗装、塗膜。そして使用時のプロテクト、すべてにおいて進化しているし、日々進化し続けているわけで、色あせという塗装の劣化としては最大の症状が抑えられるようになっているのは、当然のことではあるのだ。