【人とくるまのテクノロジー展2017】公道走行可能な燃料電池スクーターが登場
TEXT: 青山義明
PHOTO: 青山義明
空冷式燃料電池を搭載してリヤのインホイールモーターで駆動
5月24日(水)から26日(金)にパシフィコ横浜で開催された「人とくるまのテクノロジー展 2017」(主催:公益社団法人自動車技術会)。ここにスズキが2017年3月から国内実証実験を開始した「バーグマン フューエルセル」を出展した。
バーグマン フューエルセルは、スズキの中型スクーターである「バーグマン200」をベースに、空冷式水素燃料電池を搭載し、フレーム内に70MPa水素タンク(10リッター)を積み、加速時のアシストや、モーターからの回生エネルギーのバッファとしてリチウムイオン電池も搭載する。リヤホイールに内蔵したインホイール型交流同期モーターで駆動する。車両重量は199kg、1充填あたりの航続距離は60km/h定地走行で120kmとなる。最高速度は75km/h。
スズキは、2006年より環境に配慮した燃料電池二輪車の開発に取り組んでおり、すでに、英国の燃料電池システムメーカーである「インテリジェント エナジー」社と共同で開発した「バーグマン フューエルセル スクーター」で、2010年から実証実験を行なっている。2011年には燃料電池車両としては世界初となる「欧州統一型式認証」も取得している。
今回は、国内で昨年8月に車両型式等認定を受け、実際にナンバープレート(車両番号票)を取得し、公道走行が可能な車両2台が出展された(スズキブース及びインテリジェント エナジー・ブース)。インテリジェント エナジーと共同開発したFCスタックはすでに何世代も進化を重ねており、軽量コンパクトで低コストな空冷システムというのは変わらない。1基4.3kWの出力のスタックだが、これを複数搭載することで高出力化を可能としており、2輪だけでなく、より大きな車両にも対応が可能になる。
現在この2台を含む全18台の「バーグマン フューエルセル」は、静岡県と福岡県でその市場性を確認するとしている。気になる水素の充填だが、既存の70MPa対応の水素ステーションで充填を行う。ただし、2輪のプロトコルが組み込まれているステーションに限られるため、静岡及び福岡周辺の2輪プロトコル対応済のステーションのみ。その2県周辺以外、たとえば関東に展開している水素ステーションでは現時点では充填は不可だという。