2リッターに匹敵する力強い1.2リッターエンジン
はじめに「R&Go」をダウンロードしたスマートフォンをセンターパネルのフォルダーにセットすると、ちょうど手が届きやすくていい感じ。ルノーらしいオシャレなメニュー画面も楽しい。せっかくなのでエコドライブ採点を試してみることにして、街なかへと繰り出した。
キャプチャーのパワートレインは、2リッターに匹敵する力強さと高い環境性能を両立した、1.2リッターの直噴ターボエンジンに6速EDC(2クラッチ2ペダルトランスミッション)という組み合わせ。昨年、欧州燃費規制のユーロ5からさらに厳しいユーロ6対応に改良を受け、最大トルクが以前の190N・mから205N・mにアップ、燃費は17.2km/Lを達成し、アイドリングストップ機能も備わっている。この力強いトルクは、日本でライバルとなるガソリンモデルのコンパクト・クロスオーバーSUVを大きく引き離すもので、それを裏付けるようにひと踏み目から余裕たっぷり、軽やかに走り出すのが気持ちいい。
そして軽やかさに続いて、スルスルと伸びやかな加速フィールがやってくる。キャプチャーの6速EDCは、ほかの欧州車の2ペダルMTと呼ばれるミッションよりも、シフトショックのような1拍の間が小さくなめらかで、ATやCVTに慣れ親しんだ人でも違和感のない操作感が魅力。一発の力強さが欲しいときには瞬時に応えてくれるし、のんびりとしたクルージングにも、街なかをメリハリつけて走りたい時にも賢く付き合ってくれるのが嬉しい。
また感心したのは、17インチタイヤを履いたプレミアムの乗り味。カーブでもしっかりとフラット感を保つ剛性がありながら、路面の段差などはしなやかに消して、とても上質だ。これならファミリーや愛犬家にもオススメできるし、世界中とまではいかなくても、日本中を旅するロングドライブにもぴったりだ。 そしてもうひとつ、こうした走りの良さと快適な乗り味に加えて、細い路地や駐車場などでの運転しやすさにも改めて惚れ惚れした。キャプチャーのボディサイズは、ルノーで人気のベーシックコンパクト、ルーテシアと全長・全幅とも3cmほどしか変わらず、最小回転半径も5.4mをキープ。でも全高は12cmほど高くなり、運転席から障害物や曲がり角が見やすいし、185mmにアップした最低地上高のおかげで、ちょっとした路面の荒れくらいは気にならないのも、スイスイ運転できる心のゆとりにつながっていると思える。
また、相棒として長く生活を共にしてゆくなかでは、コーナリングランプ機能付きフォグランプやオートライト、ヒーター付き電動格納式ドアミラーやワンタッチウインカー機能、そしてヒルスタートアシストや前席シートヒーターといった、日常的にドライバーをサポートしてくれる上級装備が豊富に揃うのがありがたいところ。後席も160mmの前後スライドが可能だし、6:4分割の前倒しが簡単にできて、こうした使い勝手もしっかり考えられている。
さて、混雑した街なかから海を望む幹線道路を気持ちよく走る間、チラチラと気にしていたエコドライブ採点はどうだったかというと……。丁寧なペダル操作を心がけていたはじめのうちは、100点満点中97点という高得点をマークしていた。
でもそのうち直噴ターボの気持ちのいい加速に心がゆるみ、気がつくと70点台まで急降下。うぅ、けっこうキビシイ先生が見ているようで。でもこちらも負けずに秘策を出しちゃうぞと、「ECOモード」スイッチをON! 帰り道に再び点数を巻き返すことに成功したのだった。
そう、キャプチャーにはもとから、押すだけで勝手にエコドライブをしてくれる優秀な「ECOモード」が標準装備されている。エコドライブ採点へのチャレンジは面白いけれど、面倒な人はスイッチをONにすればキャプチャーがうまいことやってくれるから安心だ。
こうして、ひと時のキャプチャーとの冒険を楽しんでみると、やっぱり眺めても走ってもキャプチャーの満足感はすごいとしみじみ感じた。特別仕様車のプレミアムだから、なおさらだったのかもしれない。
デザインに一目惚れして衝動買いしても、ダウンサイジングでもっと大きなクルマから乗り換えても、ベーシックなコンパクトカーからのステップアップとしても。キャプチャーなら、きっとポジティブで豊かな人生をもたらしてくれるはずだ。