後席でもシートベルト非着用による車外放出のリスクは大きい
もうひとつ、後席シートベルトの非着用時のリスクとして、衝突事故の際の車外放出が挙げられる。
車外放出による死者の発生率は、運転席が6.6%、助手席が9.4%、後席が17%と、後席が圧倒的に高い。その後席の車外放出による死者の93.5%は、シートベルト非着用。
一般的には安全だと思われがちな後席だが、シートベルト非着用では、シートベルトを着用している運転席や助手席に対して比べ物にならないリスクがあるので、根拠のない過信は改めよう。
そして、今回のJAFの実験で、ぜひとも覚えておいてほしいのが、シートベルトを締めていない後席の人の身体が、事故を起こした際、ドライバーや助手席の人に大きなダメージを与える凶器と化すこと!
前述の通り、40km/hで衝突した場合、後席の乗員の身体には、自分の体重の約30倍の力が瞬時にかかる。その人の体重が60kgだとすると、その約30倍=約1.8トンの力が前の座席の背もたれにぶつかることに! 日産R35GT-R(車重1740Kg)に背中から瞬時に押しつぶされて、前からはエアバッグに挟まれたらと思うとゾッとする。
一般道路における後席のシートベルト着用率が、36%と低迷しているのは、運転席・助手席と同時期に義務化をしなかったことが一番の原因だが、万が一に備えるのがシートベルトなので、後部座席であっても、一万回クルマに乗ったら一万回シートベルトを着用するよう自分自身も習慣化し、同乗者にも促すようにしよう(タクシーなどでも例外なく!)。