全高との比率や前後のトレッドの差も重要な要素
もうひとつ、「全高(重心高)÷トレッド」も重要な数字。重心高が同じなら、トレッドが広い方がロール剛性は高くなる。この重心との関係に加え、タイヤサイズも影響してくるので、じつはほとんどのクルマは、前後のトレッドが微妙に違う。
上記の例でいえば、NDロードスターは、前1495mm:後1505mm。クラウンアスリートは前後とも1545mmで同じ。XVは前1555mm:後1565mm。日産ノートは、前1470mm:後1465mm。市販車でいうと、トレッドの数字はフロントがややワイド、リヤがややナローというのが多い。
しかし、ポルシェ911のように、RRでリヤタイヤの負担が圧倒的に大きいクルマは、リヤのトレッドが大胆に広く、タイヤの幅も大きい。
逆に一般的なFF車は、フロントのトレッドのほうが広いケースが多い。前後でトレッドが異なる場合、基本的にはトレッドの広い側の安定性が上がる。このようにトレッドは、前後の重量配分や、前後のタイヤサイズが同サイズかどうかでも、影響力が変わってくる。
簡単にトレッド幅が調整できるレーシングカートの例でいえば、フロントのトレッドが広く、リヤが狭いと、オーバーステア傾向に、逆にフロントが狭くリヤが広いとアンダーステア傾向なるといわれているが、アンダー・オーバーといっても、ターンイン、クリッピング、立ち上がりのどこでその症状が出るかによっても、フロント・リヤ、どちらのトレッド幅をいじるかが変わってくるので奥が深い。
というわけで、とりあえず気になるクルマは、ホイールベース・トレッド比を計算してみて、どういうハンドリングの素姓のクルマかを、いろいろ調べてみると面白いだろう。