保安基準適合品でも引っかかるケースがある
肝心なのは、ずばり「後方の乗車人員の頭部等に過度の衝撃を与えるおそれの少ない構造」という部分。これは、後部座席に座る人の頭部等に『過度の衝撃を与えるおそれの少なければ』、シート背面用緩衝パッドは必要不可欠ではないとも読み取れる。
つまり、上記の例外を含むレカロの正規品のフルバケットシートで、カタログに「保安基準適合品」と書かれている製品は、シート背面用緩衝パッドなしでも後部乗員に『過度の衝撃を与えるおそれが少ないこと』を証明するデータ(保安基準適合証明書類)があり、それを各地の陸運局に提出済みで、基本的にはそのまま車検をクリアできる条件が整っているということになる。
したがって、バケットシートに貼ってある「保安基準適合」ステッカーを見せれば、本来シート背面用緩衝パッド無しでもお咎めなしになるはず。
とはいえ、陸運局の検査官によっては、「保安基準適合」ステッカーを見せても、「シート背面用緩衝パッドを貼りなさい」と指示する場合もあり、同様にディーラー等でも車検整備を(内規で)断るケースも少なくないのが現実。
書類と条件さえクリアしていれば、あとは根気よく情理を尽くして説明・説得することで車検も合格するはずだが、そのやり取りのエネルギーやコストは馬鹿にならない……。
そう考えると、純正採用のバケットシート以外(2シーターを除く)は、やはりシートバックプロテクターを用意しておくほうが、無難といえば無難だろう。