単なるショーモデルではなくハイスピード走行を想定した内容
決して、デザインだけのハリボテ・ショーモデルではなく、ブレーキは当時のレーシングカーでも珍しい4ポットキャリパー&4輪ベンチレーテッド・ディスクという豪華なスペック。
最高速250km/hからのストッピングパワーを想定したセレクトになっていた。15インチのアルミホイールも、例外的に大きなサイズで、完全にワンオフ。
ボディカラーは当初、マツダのイメージカラーのグリーン、そしてイエロー、シルバーへと塗り直されている。
ライトも最初はリトラクタブルライト風のダミーライト(?)で、のちに埋め込み式のライトに変更。インテリアデザインも、エクステリアに劣らずセンスのいいものに仕上がっている。
このように、かなり本気度の高い入魂の一台になっているにもかかわらず、RX500は量産にはこぎつけず、結局、試作車のこの一台でお蔵入り……。全長4330mm×全幅1720mm×全高1065mm、車重850㎏のボディが、大きすぎたのがその理由(ボディはFRP製。ドアとフェンダーはABS樹脂製)と言われているが、何とも惜しい!
もし、1970年代前半に、マツダからこのRX500が市販化されていたら、日本のスポーツカー史や世界のスーパーカー史もかなり変わったと思えるのだが……。レーシングカーでも、効率や空力を優先した結果、デザイン的には決して魅力的とはいえないクルマが増えてきた昨今こそ、こういう理屈抜きでカッコいいクルマの登場が待ち望まれるところ。
あらためてRX500を見てみると、「デザインのマツダ」と評判の、今のマツダから、とびっきりカッコいい、次期ロータリースポーツ車の登場を期待せずにはいられない。