トラブルに見舞われたことを考えれば喜べる結果
2017年のWRCは南米大陸へと移動し、4月27日~30日、アルゼンチンを舞台に第5戦が開催。ここで幸先の良いスタートを切ったのが、トヨタのエースとしてヤリスを駆るヤリ-マティ・ラトバラだった。27日の午前中に行われたシェイクダウンでラトバラがベストタイムをマーク。チームメイトのユホ・ハンニネンは10番手に止まるものの、トヨタ陣営がグラベルステージを攻略する。
同日の夕刻、コルドバ市街地に設定されたスーパーSSはターマックとグラベルのミックス路面ながら、「とてもいいフィーリングでスタートすることができた」と語るようにラトバラは5番手でオープニングステージを走破。ハンニネンは10番手に止まるものの、2台のヤリスは堅牢な走りを見せていた。
翌28日のデイ2はカルロス・パスを舞台に本格的なグラベルラリーが開催された。いずれもハードなステージとなっていることから、脱落者が続出するサバイバルラリーが展開される。まず、i20クーペを武器に総合3番手につけていたダニ・ソルドがSS3でクラッシュを演じるほか、C3を武器に総合2番手につけていたシトロエンのクリス・ミークもSS4でコースオフ。さらにチームメイトのクレイグ・ブリーンも同ステージでギヤボックスのトラブルに見舞われるなどワークス陣営にハプニングが続出する。
これに対してトヨタ陣営はエースのラトバラが総合2番手に浮上するなど順調な走りを披露。しかし、そのラトバラも予想外のハプニングに見舞われることとなった。SS6でエンジン温度が上昇し、セーフティモードに入るトラブルが発生するほか、SS8ではパンクに見舞われ、大幅にタイムロス。この結果、ラトバラは総合6番手まで後退し、ファーストループでエンジンパワーが上がらずに出遅れていたハンニネンも9番手でデイ2をフィニッシュすることとなった。
翌29日のデイ3でも上位陣にトラブルが続出。SS10で総合2番手につけていたMスポーツのマッズ・オストベルグが油圧計のトラブルにより3番手に後退するほか、SS13ではマシンを破損し、上位争いから脱落する。これを尻目にラトバラはコンスタントな走りで総合5番手に浮上! ハンニネンも総合7番手にポジションアップを果たすなどトヨタ陣営は粘り強い走りを披露した。
最終日となる翌30日のデイ4もトヨタ陣営の2台のヤリスは安定した走りでポジションをキープする。その結果、「アンラッキーな面もあったが、ふたりのドライバーは素晴らしい仕事をした。トラブルがなければさらに上の順位で完走できたが、手にしたリザルトを喜ぶべきだろう」とチーム代表のトミ・マキネンが語るように、ラトバラが5位入賞、ハンニネンも7位入賞を果たすなど、トヨタ陣営は過酷なグラベルラリーで2台揃って完走を果たした。
なお、注目を集めたトップ争いはMスポーツでフォード・フィエスタを駆るエルフィン・エバンスが後続に55秒の差をつけてデイ2を制するものの、デイ3で2度のスローパンクチャーとリヤディフィューザーの破損で失速。なんとか首位をキープするものの、i20クーペを武器に総合2番手に浮上したヒュンダイのティエリー・ヌービルに約11秒差まで詰め寄られてしまう。
そして、デイ4ではエバンスVSヌービルが激しいトップ争いを展開。その結果、SS17、SS18でベストタイムをマークしたヌービルが逆転に成功し、2連勝を達成。エバンスが0.7秒差の2位に惜敗しており、Mスポーツのオット・タナクが3位で表彰台を獲得した。