R32GT-Rよりも剛性を44%アップし国産最強のボディに
R33GT-Rのタイヤサイズは、R32GT-RのVスペックⅡと同じ、245/45-17。しかしR33GT-R専用に開発されたポテンザのパフォーマンスは非常に高く、そのグリップ力を受け止めるべく、ボディにはベース車に対し30カ所以上もの補強を追加した。
エンジンパワーはR32GT-Rと同じで、国内自主規制上限の280馬力だったにもかかわらず、ボディのねじれ剛性はR32GT-Rより44%もアップして、国産スポーツカー史上最強のボディを誇る一台となった。これらの技術的進歩により、ドイツのニュルブルクリンクのテストでは、アクセルの全開時間がR32GT-Rよりも、15~20%も増している。
これにはボディ剛性、タイヤの高性能化、サスペンションの最適化も大きな影響を与えているのは言うまでもないが、のちにいろいろと不評を買うことになった、ホイールベースの延長(105mm)による直進性や制動時のスタビリティの向上も、大きく貢献している。
また空力面でも、角度調整機構付リヤスポイラーを採用し、空気抵抗係数Cd値もR32GT-Rの0.40に対し、0.35とロードラッグ化に成功。リフトフォースもさらに減って、前後の空力バランスも適正化がすすめられている。先のロングホイールベース化に加え、このエアロダイナミクスのアドバンテージによって、高速安定性にも優れ、空気抵抗が少ない分、最高速も伸びる強味も持っていた。
エンジンは前記のとおりR32GT-Rと同じRB26DETTだが、過給圧はR32GT-Rの0.78kgf/cm2から、0.84kgf/cm2へと、0.06kgf/cm2のブーストアップ。
コンピュータもそれまでの8ビットから16ビットと処理能力が向上し、レスポンスがアップ。最大トルクも、1.5㎏-m増えて、37.5㎏になっている。
電子制御についても、スーパーHICAS(4WS=四輪操舵)はさらに洗練され、Vスペックには電子制御LSD=アクティブLSDも投入。アテーサE-TSと合わせ、ハイテク4WD車としても、世界最先端の制御技術を武器にしていた。