車高の高いXVのほうがロールが少なく感じられる
では、最低地上高が200mmと高くなっているXVは、インプレッサスポーツ以上にロールして感じるのかといえば、答えはノー。たしかに重心高は高いのだろうが、ロールの中心軸(ロールセンター)が重心位置に近づいているようで、ロールそのものが大きいという印象はない。
むしろ、同じ18インチとはいえ55扁平となったタイヤが受け止める領域もあり、旋回時のロールは少ないようにさえ感じるのだ。だからといってサスペンションが硬く締め上げられているわけではない。前述したようにいくつかのギャップではサスペンションがしっかりと伸び縮みして衝撃を受け止めていることも確認できた。どちらが優れるかというのは難問で、インプレッサは40扁平タイヤながらマイルドに仕上げているのは見事であるし、一方でクロスオーバーSUVスタイルのXVでは車高を感じさせないナチュラルなハンドリングを実現しているのも見事。
そして、新世代プラットフォームのSGPが、こうした正反対ともといえそうなキャラクターを、いずれも実現できるというのは、二台を乗り比べての発見だった。
さて、乗り比べたXVとインプレッサは、同じ2リッター直噴ガソリンエンジン(もちろん、水平対向4気筒だ)を積んでいたが、こちらは意外なことにアクセル操作へのツキはXVのほうが優位に感じられた。
スペックを見比べると、最終減速比(ファイナルギヤ)が異なっている。インプレッサの3.700に対してXVは3.900と低めなのだ。基本的には異なるタイヤ外径でも同等の発進加速を実現するための違いだろうが、こうしたローギヤード振りのセットアップが、ちょっとしたフィーリングの差につながっているのではないだろうか。
というわけで、クロスオーバーSUVのXVは、重心の高さにより走りにネガがあるということはなかった。もちろん、物理的にも、ドライバーの視点からもインプレッサのほうが有利なのは間違いないだろうが、それぞれ味付けの方向が異なることで、同じベクトルでは比較できないと感じたのだった。
それにしても、SGPのポテンシャルは高い。これからSUBARUがどのようなブランドに育っていくのかは想像するほかないが、クロスオーバーSUVのエントリーといえる「SUBARU XV」の仕上がりを考えると、右肩上がりの好調は、まだまだ続きそうだ。