運送費の低下で労働に対する賃金が低いため新規のなり手が少ない
1970年代に一世を風靡した映画「トラック野郎」シリーズは、フリーランスのトラックドライバーが主人公の物語でした。
菅原文太さん、愛川欽也さん(いずれも故人)が演じる腕利きのドライバーによる荒唐無稽ともいえるストーリーは、トラックドライバーや電飾などでカスタムされた「デコトラ」を憧れの対象へとしたものです。
その後、トラック物流は企業がまとめるようになっていきますが、それでもドライバーのなり手は十分に確保されていました。運送業は労働環境は厳しいものの、それに見合うだけの稼ぎが期待できたからです。起業を目指す若者が開業資金を貯めるために、数年間トラックドライバーとして働くというモデルもあったほどです。
しかし、現在はそうではありません。デフレスパイラルの影響で運送費は常に下げられる方向で、当然ながら人件費も上がらないどころか下がっています。免許制度の改正や「クルマ離れ」をトラックドライバー減少の理由とする向きもありますが、単純に労働に見合うだけの稼ぎが期待できないから減っていると考えるのが妥当でしょう。
トラックドライバーの高齢化が進んでいるのも、稼げる時代にドライバーになった層が残っている一方で、新規参入が少ないからに過ぎないといえます。
つまり、ドライバー確保のポイントは人件費アップということになります。そのためには運送費を上げるトレンドになるため、結果的にユーザーの負担は増えますが、物流システムを維持・確保するためには致し方ないといえます。すでに、そうした動きは見えています。
とはいえ、自動運転テクノロジーが進んでいるなかで、ドライバーという職業に将来性がないと判断されてしまうと、職業ドライバー減少のトレンドはますます加速してしまうかもしれません。