人気のあったS13型に比べ市場の反応は今ひとつ
このパワーアップに合わせ、ブレーキも容量も増やされ、ターボ車には対向ピストンキャリパーも標準化。コンセプトの「楽しい走り」という面では、かなり満足できるいいクルマに仕上がっていたのだが、市場の反応はS14シルビアに冷たかった……。
不人気の理由は、スタイリング。「アートフォース」というキャッチで、大ヒットとなった先代シルビア=S13は、あの流麗なスタイルとFRのパッケージというのが、人気の原動力だったのに対し、S14のボディは、大きく、丸みがあり、とにかくシャープさが乏しかった。
デビューから3年後、1996年6月のマイナーチェンジで、ライトまわりを一新し、いわゆる「ツリ目」に変更し、人気回復を図るが、RVブームなどの影響もあり、販売台数はさほど伸びずにモデル末期を迎えることに……。
日産のような規模の大きな会社になると、社内にもいろいろな意見があるのだろう。そのために車種ごとのキャラクターも、なかなかキープできなかったのかもしれないが、S14はパフォーマンス面では秀逸だっただけに、ボディサイズとボディデザインの問題で、市場の支持が低迷したままだったというのは、何とも惜しい。クルマ作りの難しさを考えさせられた一台といえよう。