ローとトップのギヤ比を決定してその間を分割すると最適な段数が9速
トランスミッションは横置きでの開発時はレジェンド用をベースにした7DCTだったが、縦置きに決定してからはNSX専用設計の9速DCTを新規に開発。
DCTとしては世界最高段数を誇り、スポーツドライビングでのダイレクト感ある走りとギヤ比のつながりの良さだけでなく、市街地やハイウェイでの快適性も兼ね備えた理想のトランスミッションを目指して作られた。
発進加速、変速のつながり、パワーバンドの維持、最高速、クルージングの静粛性や燃費など、どのような領域や性能にも不足がない全域ベストのレシオを実現するための段数だ。
なぜ9速であるか。その求め方は、ローとトップの理想的なギヤ比を求め、そこを分割したときに最適となる段数は7段であるという結論に至ったという。
つまり、ローギヤは発進加速度を最大限に得られるギヤ比であり、トップの9速はハイウェイでの静かなクルーズを行えるギヤ比としている。2〜8速はパワーピークゾーンをキープできるクロスレシオで、最高速の307㎞/hは8速で発揮する設定となっている。ちなみに、9速100㎞/hでのエンジン回転数は約1700rpmというものだ。
9DCTの基本構造は、前進段が3軸構造でリバースやファイナルギヤは別軸となる。エンジンのフライホイールの直後にはドライブシャフトが通されており、そこをまたいでクラッチが配置される。
クラッチより後方はリヤドライブシャフトの後方となるので、リヤオーバーハングを短縮するためにDCT自体の全長も短縮。
縦置きになったからといってスペースに余裕ができたのではなく、リヤモーターがあるだけ、むしろ制約が厳しいなかでのパッケージングがなされている。