3モーターでのトータル出力は611馬力!
すでに多くのEV車(エレクトリックビークル・電気自動車)が登場し、EV車自体は珍しいクルマではなくなってきた。しかし普及は思うほど進まず、街なかでEV車を見かける頻度は極めて少ない。とくにHV車(ハイブリッドビークル)が巨大なシェアを築いている日本国内では、EV車はなかなかメジャーに地位を築けないようだ。
しかし北米や中国など超大国へ赴くと様相は一変する。北米はロサンゼルスやサンフランシスコ、シリコンバレーなど環境意識の高い地域を中心に、中国も首都・北京を中心に大気汚染の深刻な地域ではEV車の比率が極めて高くなっている。北京の中心地では10台中3台ほどがEV車だ。
中国では多くのメーカーがEV車市場に参入していて、車種を数えるのも困難なほど。そんな北米や中国のEV車事情のなかで煌めきを放っているのがテスラ車だ。「テスラ」車自体その知名度が高まり、クルマに詳しい人なら洋の東西を問わず認知されている。
自動車メーカーというより、シリコンバレー生まれのIT産業のイメージが色濃いテスラ社は、現在スポーツセダンのモデルSとSUVのモデルXをリリースしている。今回はモデルSの最新にして最強のP100DというAWD(オールホイールドライブ)モデルに試乗してきた。
登場以来そのスタイリッシュなデザインと圧倒的なEV航続距離を武器に、グローバルなEV市場を席巻しているモデルS。
P100Dは前後輪をプロペラシャフトで結ばず、前輪用に262馬力の駆動モーターを1個。後輪左右に1個ずつ計2個で、510馬力の出力容量を持つモーターを搭載。3つのモーターをコンピューター制御で駆動することでAWD化し、システムトータル出力として611馬力に達する圧倒的な動力性能をも身につけ、アピールしている。
その発進加速性能は0-100km/h発進加速を2.7秒でこなすとされる。2016年モデルの日産GT-Rがローンチコントロールを使用して同2.8秒と公表され当時世界最速だったから、テスラはEVでそれを凌いだことになる。
現在でもこれより速いタイムを出せるクルマは、ポルシェ918スパイダーやブガッティ・ヴェイロン、ラ フェラーリなどのスーパーカーだけだ。街なかでテスラ・モデルSと並んでも決して信号グランプリなどしないことだ。
満充電でおよそ600km走行可能なリチウムイオンバッテリーをフロアに敷き詰め、小型モーターをアクスルに搭載する。そのためフロントの大きなトランクスペースが確保され、リヤの荷室容量も巨大。大人5人が余裕で乗車できるキャビンスペースに加え、リヤ荷室には専用のチャイルドシートも設定され、最大7人乗車が可能となる。
その優れたパッケージングで、一般の人はパワートレインがどこに搭載されているか判別できないだろう。