新型ホンダNSXのハイブリッドはなぜ3つもモーターを使うのか?

前輪の2モーターは曲がるためにも使われる

 これまでにないハイブリッドスポーツカーとして高い動力性能とハンドリングを備えつつ、EV走行まで可能としているのが、NSXのSport Hybrid SH‐AWD。レジェンド用をベースとしつつ、ミッドシップレイアウトに併せて配置を前後逆転させたようなもので、3つのモーターを搭載するのが大きな特徴だ。


まず後輪の駆動をアシストするのがダイレクトドライブモーターだ。レジェンドのSH-AWDではDCT内のメインシャフト後端にモーターが装着されていたが、NSXではエンジンのクランクシャフトに直結させている。

 これによってターボエンジンの宿命であるターボラグを補い、アクセルの踏み込みと直結したリニアでトルクフルな加速フィールをもたらしている。モーターのアシストを使えば瞬時にトルクをブーストできるというわけだ。


ダイレクトドライブモーターはエンジンのスターターとジェネレーターの役目ももっていて、アイドリングストップやEV走行からの復帰でも迅速かつスムースにエンジンを始動させ、スポーツ走行時ではコーナーの立ち上がりでエンジンの余剰駆動分を発電に回すことでバッテリーをチャージして、次のフル加速でのアシストに備えることもできる。

 FFベースのレジェンド用SH‐AWDでは、リヤにツインモーターユニット(TMU)を搭載していたが、ミッドシップのNSXでは、専用開発のTMUをフロントに搭載している。

 スーパースポーツ初となるトルクベクタリングを超高速域まで実現し、アクセルオン・オフを問わず、作動する。また、200㎞/hまでは駆動力アシストを行うAWDとトルクベクタリング、それ以上は最高速までトルクベクタリングとして作用する。


このトルクベクタリングはインテグレーテッドダイナミクスシステムのモード選択でも特性が変わり、SPORTモードまでは軽快感を重視しながらも安定性を両立したトルクベクタリングを、SPORT+以上ではより俊敏な回頭性を実現する制御としている。


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