同じ車速でも各ギヤでエンジン回転数が違うためシフトチェンジの際に調整すること
F1マシンが、まだ3ペダルのHパターンシフトだった時代、ミケーレ・アルボレートやネルソン・ピケは世界一のシフトチェンジャーと言われていた。それはただ単にシフトチェンジが速いだけでなく、シフトチェンジの際、的確に回転数を合わせ、ミッションを痛めることがなかったからだ。
この回転を合わせるとはどういうことなのか。クルマのカタログに、走行性能曲線というグラフが載っているのを見たことがあるだろう。このグラフを見ればわかるとおり、同じ車速で走る場合、ギヤが違えばエンジンの回転数は変わってくる。
ちなみにトランスミッション内のすべてのギヤは常時噛み合っているのだが、シフトレバーで選択されたギア以外はエンジン回転数に合わせて空転した状態になっている。
つまり、次にシフトチェンジするギヤも、いま繋がっているギヤと同じ回転数で回って待機しているので、シフトアップするときも、シフトダウンするときも、次のギヤに合った回転数に合わせないと、ギアはすんなり入ってくれない……。(シフトダウンの際は、逆にクラッチを切って、アクセルをひと吹かししてエンジンの回転数を高めておかないと、回転が合わない。ヒール&トゥが必要になる理由のひとつ)。