【今さら聞けない】クルマ好きがいうMT車の回転を合わせるってどういう意味? (1/2ページ)

同じ車速でも各ギヤでエンジン回転数が違うためシフトチェンジの際に調整すること

 F1マシンが、まだ3ペダルのHパターンシフトだった時代、ミケーレ・アルボレートやネルソン・ピケは世界一のシフトチェンジャーと言われていた。それはただ単にシフトチェンジが速いだけでなく、シフトチェンジの際、的確に回転数を合わせ、ミッションを痛めることがなかったからだ。

 この回転を合わせるとはどういうことなのか。クルマのカタログに、走行性能曲線というグラフが載っているのを見たことがあるだろう。このグラフを見ればわかるとおり、同じ車速で走る場合、ギヤが違えばエンジンの回転数は変わってくる。

たとえば車速が80㎞/hの場合、2速なら5500回転、3速なら3800回転、4速なら2900回転、5速なら2000回転といった具合だ。各ギアと車速、エンジンの回転数にはこのような関係があるので、上記の例でいえば、80km/h=2速=5500回転で走っていて、3速にシフトアップする場合、クラッチを切って、アクセルを戻し、エンジンの回転数がちょうど3800回転までドロップした瞬間に、ギアを2速から3速に入れてクラッチをつなげば、エンジン側のギヤ(ドライブギヤ)とタイヤ側に出力されるギヤ(ドリブンギヤ)の回転数がピタリと一致して、スムースなシフトチェンジが行える。

 ちなみにトランスミッション内のすべてのギヤは常時噛み合っているのだが、シフトレバーで選択されたギア以外はエンジン回転数に合わせて空転した状態になっている。

 つまり、次にシフトチェンジするギヤも、いま繋がっているギヤと同じ回転数で回って待機しているので、シフトアップするときも、シフトダウンするときも、次のギヤに合った回転数に合わせないと、ギアはすんなり入ってくれない……。(シフトダウンの際は、逆にクラッチを切って、アクセルをひと吹かししてエンジンの回転数を高めておかないと、回転が合わない。ヒール&トゥが必要になる理由のひとつ)。

  


藤田竜太 FUJITA RYUTA

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