スポーツカーレースの黎明期を支えたメーカー選手権
自動車レースは、ドライバーが腕を競うフォーミュラレースと、マシン製造者が鎬を削るスポーツカーレースに大別できる。現在で言うなら前者がF1GPで後者がWECということになるだろうか。
ともに1950年代に世界選手権がスタートしているが、フォーミュラのトップカテゴリーであるF1は、もちろんテクニカルレギュレーションは何度も変更されてきたものの、カテゴリーとしては(極初期にはF2マシンが混走したり主役だったりしたこともあったが、その数少ない例を別にすれば)常にF1マシンが使用されてきた。
これに対してスポーツカーレースのほうは、スポーツカーだったりレーシングスポーツだったりプロトタイプカーだったりと主役が何度も交代。それどころかシリーズタイトルさえも何度も何度も掛け替えられている。
だからF1マシンを振り返るときには年代で区切ればそれでこと足りるのだが、スポーツカーレースの場合は話がややこしくなってくる。ただ、そんな複雑な変遷を重ねてきたスポーツカーレースの最高峰だが、その黎明期を支えたのがメーカー選手権だったことは紛れもない事実。
厳密に言うなら1962-1967年はInternational Manufacturers Championship(国際マニュファクチャラーズ選手権)、1968-1971年はInternational Championship for Makes(国際メーカー選手権)、そして1972-1980年にはWorld Championship for Makes(世界メーカー選手権)と推移しているが、この約20年をメーカー選手権の時代とし、今回から当時のシリーズに参戦し世界中の耳目を集めた名レーシングマシンを紹介することにしよう。
最初に登場するのはやはり、ル・マン24時間レースで1966年から69年まで4連覇を果たしたフォードGTだ。