表彰台はシトロエン・フォード・ヒュンダイが獲得
2017年のWRCは3月9日-12日、唯一の北米イベントとなるメキシコで第3戦が開催。同イベントはシーズン初のグラベル戦となることから、今後の動向を占う一戦として注目を集めるなか、幸先の良いスタートを切ったのが、開幕戦のモナコで2位、第2戦のスウェーデンで優勝と、ここまで順調な立ち上がりを見せているトヨタ陣営だった。
第3戦・メキシコのオープニングステージは9日の夕方、首都・メキシコシティの市街地コースに設定。2回の走行を行い、その合計タイムで順位を決するシステムが採用されるなか、トヨタのセカンドドライバー、ユホ・ハンニネンが1回目の走行でベストタイムをマークする。ハンニネンは2回目の走行で5番手タイムに留まるものの、合計タイムで首位につけ、晴れてターマックのSS1を制覇。「初めて自分がWRCの総合首位に立ったことに驚いている」と語るように、ハンニネンがデイ1をトップでフィニッシュする。
一方、これまで2戦続けて表彰台を獲得しているエースのヤリ-マティ・ラトバラは「距離の短い市街地SSでは大幅にタイムを縮めることは難しいので注意して走った」と語るように、それぞれの走行を7番手タイム、8番手タイムで消化し、首位ハンニネンから遅れること約6.2秒でデイ1を走破する。
翌10日はイベントのホストタウンであるレオンのグラベルステージで本格的なラリーが行われる予定だったが、競技車両を載せてメキシコシティからレオンへ向かっていた積載車が渋滞で遅延したことから、この日のファーストループであるSS2およびSS3がキャンセルに。波乱含みの幕開けとなるなか、トヨタ陣営も苦戦を強いられることとなった。
もともとグラベルイベントでは実質的な競技初日となるデイ2をランキングの順番で走行しなければならないことから、首位のラトバラは先頭スタートで路面の掃除役を強いられるが、それに加えて予想外のハプニングが発生する。「エンジンの温度が上がってしまったので、ロードセクションモードに切り替えて走っていた」と語るように、ラトバラはエンジントラブルでペースタウンを強いられる。
これと同様にデイ1を制したハンニネンも「出走順が後方だったけれどエンジンの温度が上がってしまった」とのことでロードセクションモードとステージモードを切り替えながら慎重な走りを披露。そのため、2台のヤリスは終始ペースが上がらずハンニネンがトップから約1分27秒遅れの4番手に後退するほか、ラトバラもトップから約2分30秒暮れの8番手でデイ2をフィニッシュした。
翌11日のデイ3ではマッピングの変更でエンジン温度が上昇するトラブルは解消したものの、タイヤ選択のミスでペースダウン。加えてラトバラがSS11でパンクに見舞われるほか、ハンニネンも体調不良に苦戦する。それでもラトバラがトップから4分32秒遅れながら6番手に浮上するほか、ハンニネンも僅差の7番手でデイ3を走破。そして翌12日のデイ4でもトヨタの両雄は冷静な走りでポジションをキープし、ラトバラが6位、ハンニネンが7位で完走を果たした。
なお、総合優勝はC3WRCを武器にデイ2で首位に浮上したシトロエンのエース、クリス・ミークで、Mスポーツでフォード・フィエスタを駆るセバスチャン・オジェが2位、i20クーペWRCを駆るヒュンダイのティエリー・ヌービルが3位で表彰台を獲得した。