軽自動車ながら前後ダブルウイッシュボーンを採用
マツダ・オートザムAZ-1、ホンダ・ビート。そしてスズキ・カプチーノと、同時期に登場した軽スポーツの3台。頭文字を取ってABCと呼ばれるが、そのなかでも一番贅沢だったのが、カプチーノかもしれない。
姿を現わしたのはバブル真っ盛りの1989年の東京モーターショーで、「P-89」というコンセプトカーだった。これは「P-89」という、市販は考えずに自由に本格派スポーツカーを考えてみようという、社内プロジェクトに基づいたもの。ボディはカーボン製だったりと、市販化は考えられていなかった。
それが1991年に市販されたのは、ショーでの反響がとても大きかったから。一般からはもちろん、ディーラーからも多く、最終的に当時の鈴木 修社長の英断で決定した。ちなみに発表されたのは当時の人気番組「11PM」と、このあたりもバブルらしいエピソードだ。
市販化へ向けてのゴーサインが出たカプチーノの内容は、スポーツカーの理想に近いモノだ。コンパクトなボディで、ルーフは開閉式。しかも当時としては斬新だったメタルルーフかつ3分割を採用し、タルガトップ、Tバールーフ、フルオープン、クローズドと4つのスタイルが楽しめた。
また駆動方式はFRで、当時最強を誇ったアルトワークス譲りのターボエンジンを搭載。当然、自主規制値いっぱいの64馬力を発揮し、これをフロントミッドシップに置いて前後重量比にもこだわっている。