三菱を日産が買ったと実感させる一コマに遭遇
3月9日から一般公開されるジュネーブモーターショーだが、三菱は久しぶりに意欲的なニューモデルを披露した。クーペスタイルの最新SUVだ。その名はエクリプス・クロス(ECLIPSE CROSS)。かつてアメリカで大ヒットしたクーペ「エクリプス」の名前が復活したわけだ。
エクリプス・クロスは、デザイン優先で作ったという。次にスマホを活用したコネクティビティ(通信)、4WD技術を駆使した走りの性能を3つのテーマにしている。実車は、見るからに品質が高そうで、美しいスタイルのSUVだ。1.5リッター直噴ターボ+CVT、2.2リッタークリーンディーゼル+8速ATという組み合わせで選べる。
「このクルマが純粋な三菱オリジナル最後のクルマですか?」と聞いたら、「おそらくその通りだ」と関係者が苦笑いして答えた。
4年以上前から開発が進められてきたエクリプス・クロスは、いろいろあった三菱自動車の「切り札」という意気込みで開発が進められてきたクルマなのだ。日産に組み込まれた三菱は、いよいよカルロス・ゴーン日産&三菱会長が目指す、経営の合理化や組織の再編のなかで車作りが大きくチェンジされていくはずだ。
本当に日産が三菱を買い取ったのだな、と実感したのがジュネーブショーのこの一コマである。3月6日初日プレスデーの午後、三菱ブースに現れたゴーン会長は、テレビカメラの前に立った。テレビ東京、深夜の人気番組WBS(ワールドビジネスサテライト)の現場からの生中継である。
日産は先の組織変更でゴーンさんが代表権のある会長になり、社長には西川廣人さんが就任したばかり。三菱の組織変更はこれから急速に行なわれていくだろうが、このテレビ中継を間近かに見て、改めて自動車業界の大きな流れが変わり始めたことを痛感した。なにしろ、新型エクリプス・クロスの前でゴーンさんが、これからの意気込みを語っているのだ。世の中、何が起きても不思議ではない。ちなみに、ゴーンさんはルノーの会長でもある。
エクリプス・クロスは、年末にヨーロッパで先行発売、来年の初めから日本やオーストラリア、北米に販売展開するグローバルカーである。