再びボディを拡大して居住空間の充実を図った9代目
⑨9代目 R33型(1993年-1998年)
名車と言われるR32だが、わがままなユーザーから、「室内が狭すぎる」「セダンじゃない」といった批判が寄せられ、9代目スカイラインは、再びボディサイズを拡大する方向に……。
当初、クーペはR32ベース、4ドアはローレルと共用シャーシというプランだったが、最終的には全車が大型セダンのローレル共用ボディになってしまった! 専用シャーシが与えられたR32やR34に対し、イマイチ評価が低いのはこのため。スタイリングもしまりに乏しく、一体感がないのは否めず、結果として人気は低迷。
「本流グランドツーリングカー」というのが、R33のキャッチフレーズだったが、もはや覚えている人は少数派だと思われる……。
マーケティングに一所懸命耳を貸したはずなのに、その結果、ユーザーからそっぽを向かれるというパターンに陥ってしまった一台。マーケティングからは名車なんて生まれないというのが、R33の教訓だ。
しかし、シャーシにハンデ(?)を抱えながらも、ガソリンタンクをリヤシートの下に移したり、バッテリーを後車軸上(トランク)に設置するハイトラクションレイアウトなど、細かい工夫を凝らした。ニュルブルクリンクでのラップタイムを、R32GT-Rより、21秒短縮。CMでも「マイナス21秒ロマン」を標榜していたが、それも反感の対象に!? GT-Rではない、FRのタイプMなどに搭載された、RB25DET型エンジンの「リニアチャージコンセプト」など、技術的にはかなり進んでいた面もあるのだが、大きくて、間延びしたボディが「カッコ悪い」という評価は覆せず、技術者たちの努力が、報われないクルマになってしまった……。
1997年にスカイライン生誕40周年を記念した限定車、「GT-R オーテックバージョン 40thアニバーサリー」を発表。第二世代GT-Rの開発ドライバーを務めた、現代の名工=加藤博義さんが、この4ドアのGT-Rを愛車にしているのは有名。ニスモから、このR33をベースにした、2.8リッター(400馬力)仕様のコンプリートカー「400R」も登場している。